米、EU・カナダ・メキシコに鉄鋼・アルミの追加関税

(米国、EU、カナダ、メキシコ)

ニューヨーク発

2018年06月01日

トランプ大統領は5月31日、1962年通商拡大法232条(以下、232条)に基づく鉄鋼とアルミニウムへの関税賦課について、カナダ、メキシコ、EUへの適用免除を延長しない決定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますをした(注)。これらの国・地域は、関税賦課に代わる長期的な対応策に関する交渉を米国政府と実施中との理由に基づき、232条に基づく関税賦課の適用を6月1日まで免除されていた(2018年5月2日記事参照)。この適用免除措置が延長されなかったことで、これらの国・地域からの6月1日以降の輸入に対しては、日本を含む他の対象国と同様に、鉄鋼は25%、アルミニウムは10%の追加関税が課される。

ウィルバー・ロス商務長官は5月31日、(鉄鋼・アルミニウム輸入に関する代替策を含む)北米自由貿易協定(NAFTA)の交渉に十分な進展がみられないことを、NAFTA加盟国のメキシコおよびカナダに対して適用免除を延長しない理由として挙げた。「交渉妥結が見込まれる特定の日は、もはや想定されていない」として、NAFTAの再交渉が行き詰まっていることを示唆した。EUについても、欧州委員会との交渉が適用免除を与えるには十分な水準に至っていないと述べている(通商専門誌「インサイドUSトレード」5月31日)。ただし、トランプ政権は「これらの交渉は継続し、他の国との話し合いにも引き続き窓口を開いている」とした。

EUとメキシコは報復関税適用の構え

EUとメキシコは米国に対する報復関税を適用する構えだ(2018年6月1日記事参照:EUメキシコ)。ロス商務長官は「他国が米国に対する報復措置を発動したとしても、交渉は継続的に実施できる」との見方を示している(議会専門誌「ザ・ヒル」5月31日)。

鉄鋼の追加関税については、アルゼンチン、ブラジル、オーストラリアとの間で長期的な代替策で合意したとして、これらの国には長期的に適用を免除する。アルゼンチンとブラジルは、鉄鋼の輸入数量割当の導入で合意している。一方、オーストラリアとの合意内容は示されていない。なお、韓国の鉄鋼輸入に対しては、追加関税の適用が免除される代わりに、数量割当が既に導入されている(2018年5月9日記事参照)。

アルミニウムの追加関税については、アルゼンチンとオーストラリアとの間で長期的な代替策で合意したとして、長期的に適用を免除する。アルゼンチンからの輸入には何らかの割当措置が導入されるが、詳細は明らかにされていない。また、オーストラリアとの合意内容は示されていない。

(注)詳細は大統領宣言(鉄鋼外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますアルミニウム外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を参照。

(鈴木敦)

(米国、EU、カナダ、メキシコ)

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