鉄鋼・アルミに関する米EU協議が始動、EUは報復関税措置を一部停止

(米国、EU、中国)

ニューヨーク発

2021年05月20日

バイデン米国政権と欧州委員会は5月17日、世界的な鉄鋼およびアルミニウムの過剰生産に対処すべく協議を開始するとの共同声明を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。これに伴い、欧州委員会は米国向けの報復関税措置を一部停止するなど、双方向の貿易に悪影響を及ぼす措置を回避することに合意している。

発表に先立ち、米国のキャサリン・タイ米国通商代表部(USTR)代表とジーナ・レモンド商務長官は、欧州委のバルディス・ドムブロウスキス上級副委員長(通商担当)との面談を実施した。米EUは面談後、第三国に起因する過剰生産が双方の国内産業に及ぼす影響に対する認識を共有し、また中国を名指しして、貿易歪曲(わいきょく)的な措置を取る国に対して説明責任を負わせることで合意した。協議は、2021年末までの合意を目指す。

加えて、米EUは協議において建設的な環境を醸成するため、過剰生産に関して、双方向の貿易に悪影響を及ぼす変更は回避することに合意した。欧州委のドムブロウスキス上級副委員長は、米国が1962年通商拡大法232条に基づき、鉄鋼・アルミニウム輸入に課している追加関税への、相殺措置としてEUが準備していた関税措置を停止すると発表した。EUは2018年6月から、米国産の鉄鋼・アルミニウム製品やウイスキーなどに報復関税(2018年5月21日記事参照)を課しており、2021年6月から一部品目の税率引き上げや対象品目の追加を予定していた(注)。米EUは、今回の発表において、米国の追加関税をめぐるWTOでの係争を終了するための計画を策定することに合意している。

米国鉄鋼協会(AISI)のケビン・デンプシー会長は、今回の発表を歓迎する声明を発表した。同会長は、合意には一定の時間を要するとしつつ、協議の成功のためには「中国が鉄鋼を過剰に生産する最大国である一方、その他多くの国の補助金や市場歪曲的な措置が過剰生産の危機を招いていることを念頭に置くべき」と主張した。米国蒸留酒協会のクリス・スワンガー会長は、米国産ウイスキーに対する50%の追加関税の賦課が回避されたことから、「酒造業者は大きな安堵(あんど)の息をついている」と述べた。ただし、2018年に賦課された25%の追加関税は依然として残るため、関税撤廃に向けた取り組みをバイデン政権に求めた。

(注)対象品目リストについては、欧州委員会の公表資料外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。資料内のAnnex Ⅰに該当する品目は2018年6月から相殺関税の対象で、Annex IIの該当品目への相殺関税の適用が今回、発動前に停止された。

(藪恭兵)

(米国、EU、中国)

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