特別国債の第2弾用途リスト発表、北方地域の治水などが重点に

(中国)

北京発

2023年12月28日

中国の国家発展改革委員会は12月23日、2023年特別国債1兆元(約20兆円、1元=約20円、2023年10月31日記事参照)の第2弾用途リストを発表した。海河と松花江流域など北方地域(注)を重点地域とする治水プロジェクトやその他の重点治水プロジェクト、灌漑区域の建設・改修、土壌侵食対策の重点プロジェクト、都市の排水・水害予防能力向上プロジェクト、重大自然災害の総合防災システムの構築などが挙げられた。また、今回のプロジェクトは、治水工学システムや緊急管理システムなどを改善し、防災・減災能力や災害発生時の救援能力を向上させ、人民の生命と財産の保護を強化していくことに寄与するとした。今回の第2弾用途リストのプロジェクト数は9,600件以上で、公表済みの第1弾用途リスト(2023年12月22日記事参照)と合わせた国債発行額は8,000億元超となり、1兆元分の特別国債で調達した資金の大部分がプロジェクトとして具体化されることになる。

今後、国家発展改革委員会は、中国共産党中央委員会、国務院の決定を基に、関連部門と共同し、プロジェクトの推進と資金の使用を加速させるとした。同時に、プロジェクトの監督管理を強化し、人民のためになり、質が高く、クリーンなプロジェクトを作り上げるとした。

国家発展改革委員会の12月22日の記者会見で、記者から、同委員会は中央経済工作会議(2023年12月14日12月14日記事参照)での決定事項をどのように実施し、どこに重点を置くのかとの質問があった。これに対し、同委員会の鄭柵潔主任は、各種マクロ政策が効果を上げるよう取り組み、経済が安定の中で改善に向かうための基盤を継続的に強化するとしたうえで、今回の特別国債発行を受けて組成される各プロジェクトを着実に実施していくと回答している。

北京大学国家発展研究院中国経済研究センターの汪浩教授は、特別国債の発行は、地方政府が主要な民生およびインフラ建設などの大型プロジェクトを実施することを国家レベルで支援する、最も直接的かつ効果的な手段の1つと解説した。また、特別国債発行により、ばらまき型の投資を防ぎつつ、有効な投資によって安定成長をもたらし、経済の主導権を握るという政策上の含意もあると指摘している(「第一財経」12月23日)。

(注)北方地域は、主に秦嶺・淮河線(秦嶺山脈と淮河を境とする線で中国の南北の境界線とされる)以北を指す。東北三省(遼寧省、吉林省、黒龍江省)、黄河中下流域の5省(河北省、山西省、陝西省、河南省、山東省)および2直轄市(北京市、天津市)の全域または大部分、甘粛省南東部、内モンゴル自治区、江蘇省、安徽省北部が含まれる。

(亀山達也)

(中国)

ビジネス短信 5fbffaad05f79745