2024年の経済政策、科学技術イノベーションによる産業振興を図る

(中国)

北京発

2023年12月14日

中国の翌年の経済政策の方針を決める中央経済工作会議が12月11~12日に北京市で開催された。会議では2023年を、3年間にわたる新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止抑制を経て、経済を回復させ発展を進めた1年だったと総括した。また、外的圧力や国内における困難を克服し、改革開放を全面的に深化させ、内需拡大や構造の最適化、マインドの向上、リスクの予防と解消などを図ったことで、中国経済は回復し改善に向かっていると評価した。

また、経済回復をより一層促進するため、いくつかの困難や課題を克服する必要があるとの認識を示した。主な課題としては、需要の不足、一部の産業における過剰生産能力、社会における期待の低下、依然として存在する多くのリスク、国内大循環(注)におけるボトルネック、外部環境の複雑性などが挙げられた。

2024年の経済の基本方針として、「穏中求進」(安定の中で前進を求める)を堅持するとした。前年の同会議で策定した2023年の基本方針を継続している(2022年12月20日記事参照)。続いて、「先立後破」(先行して新しいかたちを作り、その後に古いものをなくす)の方針の下、期待・成長・雇用の安定に資する政策をさらに導入することとした。また、積極的な財政政策と穏健な金融政策に継続して取り組み、政策手段の革新と連携を強化するとした。

2024年の重点政策では、「科学技術イノベーション主導の現代産業システムを構築する」が筆頭にあげられ、特に革新的な最先端技術によって新産業・新モデル・新たな成長の原動力を生み出すとした。次に、「国内需要を着実に拡大させる」が挙げられた。ここでは、潜在消費を刺激し、効果と利益の高い投資を拡大し、消費と投資が相互に促進し合う好循環を形成するとした(添付資料表参照)。

また、「重点分野におけるリスクを持続的かつ効果的に防ぎ解消する」として、不動産、地方債務、中小金融機関などのリスクを調整・解消し、違法な金融行為を取り締まり、システミック・リスクの発生防止という最低ラインを断固として守るとした。不動産については、リスクを積極的かつ着実に解消し、所有形態の異なる不動産企業の合理的な資金調達ニーズを平等に満たし、不動産市場の安定的かつ健全な発展を促進するとされた。

(注)国内市場を重視する戦略。

(亀山達也)

(中国)

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