中央経済工作会議、2024年の9つの重点経済任務を提起

(中国)

調査部中国北アジア課

2023年12月14日

中国の2024年の経済政策の方針を決める中央経済工作会議が12月11~12日に北京市で開催された(2023年12月14日記事参照)。2024年は質の高い発展を推進するにあたり、9つの重点経済任務に取り組むとした。

(1)科学技術イノベーション主導の現代産業システムを構築する。製造業の重点産業チェーンの質の高い発展のための行動を実施し、産業・サプライチェーンの強靭(きょうじん)性と安全性を向上させる。バイオ製造、商業宇宙飛行、低空経済(注1)など若干の戦略的新興産業を育成し、量子科学や生命科学など未来産業の新たな成長ルートを切り開き、デジタルスマート技術やグリーン技術を広く応用する。

(2)国内需要を着実に拡大させる。デジタル・グリーン消費、養生(健康)消費を精力的に発展させ、スマートハウス、文化・レジャー観光、スポーツイベント、中国製トレンド商品(注2)などの新たな消費成長点を積極的に育成する。新エネルギー車や電子製品の大量消費を後押しする。

(3)重要分野の改革を深化する。「2つのいささかも揺るぐことなく」(注3)のシステムとメカニズムを改善し、各経営主体の原動力とイノベーション活力を呼び起こす。「専精特新」企業(注4)を発展させる。全国統一大市場(2022年4月20日記事参照)の構築を加速させ、あらゆる形態の地域保護と市場分割の排除に努める。

(4)高水準な対外開放を拡大する。電気通信、医療などのサービス市場の参入条件を緩和し、国境を越えたデータ移動や政府調達への平等な参加などに際しての問題解決に取り組む。外国人のビジネス、留学、観光での訪中で直面する障害を効果的に解決する。「一帯一路」の質の高い共同建設に向けた8項目の行動指針(注5)の着実な実施を支援する。

(5)重点分野におけるリスクを持続的かつ効果的に防ぎ解消する。不動産、地方債務、中小金融機関などのリスクを統一的に解消する。所有形態の異なる不動産企業の合理的な資金需要を平等に満たす。保障性住宅の建設推進を加速する。

(6)三農(農業、農村、農民)問題に着実かつ継続的に対応する。国民の食糧安全保障を確保する。農民の所得を高める取り組みを強化する。穀物をはじめとする重要農産物の安定・安全供給の手を緩めない。

(7)都市と農村の融合と地域の協調的発展を推進する。新型都市化の推進と農村の全面振興を有機的に結合させ、各要素の双方向の流動を促進し、県城を重要な担い手とする新型都市化の建設を推進する。海洋経済を積極的に発展させ、強い海洋国家を建設する。

(8)生態文明の建設とグリーン・低炭素化を踏み込んで推進する。カーボンピークアウト、カーボンニュートラルを着実に推進し、グリーン・低炭素サプライチェーンの構築を加速する。新型のエネルギーシステム構築を加速する。

(9)人々の生活を確実に保障し改善する。雇用優先の方向性をより明確にし、重点層(農民工など)の就業安定を確保する。生育支援政策システムの完備を加速し、シルバー経済を発展させる。

重点経済任務は2022年の5つから9つへ拡大した。不動産業の不振などが指摘される中、景気回復に向け、政府が各方面から力を注ぐ姿勢が見て取れる。

(注1)ドローンなどの有人・無人航空機による1,000メートル未満の低高度飛行活動や、関連分野の統合・発展によってもたらされる総合的な経済を指す。

(注2)中国製で、中国の伝統的文化要素と現在のトレンドを組み合わせた商品。

(注3)公有制経済をいささかも揺るぐことなく強固にし、発展させることと、非公有制経済の発展をいささかも揺るぐことなく奨励し、支援し、誘導することを指す。

(注4)専門性を有し、精密な技術力を持ち、差別化され、革新的な中小企業を指す。

(注5)8つの項目は、「一帯一路」構想に沿った立体的相互連結ネットワークの構築、開放型世界経済の建設支援、実務的協力の展開、グリーン発展の促進、科学技術イノベーションの推進、民間交流の支援、清廉な「一帯一路」の建設、「一帯一路」国際協力メカニズムの改善を指す(2023年10月24日記事参照)。

(宗金建志)

(中国)

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