COP28でJETP資金動員計画を発表、国際支援で脱炭素化促進

(ベトナム)

調査部アジア大洋州課

2023年12月22日

ベトナム政府は、アラブ首長国連邦(UAE)ドバイで開催された国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)の期間中(11月30日~12月13日、注1)、日本を含む支援国グループ(注2)との間で合意した「公正なエネルギー移行パートナーシップ(JETP:Just Energy Transition Partnership)」の資金導入計画外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表するなど、脱炭素化に向けた取り組みを発信した。

ベトナムのファム・ミン・チン首相は12月2日の会合で演説し、国際社会で連携して気候変動問題に取り組む重要性を強調した。また、ベトナムは2021年のCOP26で、2050年までの温室効果ガス(GHG)排出量実質ゼロを目標に掲げて以来(2021年11月9日記事参照)、主に3つの取り組みをしてきたと説明した。第1に、気候変動対応戦略やグリーン成長戦略、第8次国家電力開発基本計画(PDP8)など、脱炭素化に向けた計画策定とその実施主体の構築だ。第2に、NDC(注3)に基づく取り組みの実現で、JETPを含む国際支援を得ながら進めている。第3に、エネルギー関連の法整備で、電力直接購入契約(DPPA)の制度設計も積極的に進めていると主張した。

また、チン首相は12月1日、JETPの資金導入計画を発表した。JETPはパートナー国の化石燃料からの移行をドナー国が支援する目的で、COP26で立ち上げられたパートナーシップだ。ベトナムは2022年12月にJETPの立ち上げに合意していた(2022年12月26日記事参照)。

JETPでは、風力、太陽光、送電、エネルギー効率、蓄電、電気自動車(EV)、人材育成などの分野で開発支援や投資環境整備を目指している。また、石炭火力発電所の新規設立停止や、旧式で非効率な石炭火力発電所の閉鎖も念頭に置いている。

今回発表した資金動員計画では、支援国グループが公的資金で80億8,000万ドルを拠出し、ベトナム向けの助成金や優遇融資などに割り当てる。また、民間金融機関によるグラスゴー金融同盟(GFANZ)が77億5,000万ドルの民間投資を推進し、ベトナムでの事業を支援する。

チン首相はJETP資金動員計画の実施に向け、(1)再生可能エネルギー関連の発展、(2)エネルギーの貯蔵や送電関連の発展、(3)エネルギーの効率利用、(4)グリーンエネルギーへの転換、(5)運輸部門でのGHG削減を優先的に支援するよう支援国グループに要請した。

(注1)会期は当初予定よりも1日延長されて12月13日までとなった(2023年12月14日記事参照)。

(注2)支援国グループは、EU、英国、フランス、ドイツ、米国、イタリア、カナダ、日本、ノルウェー、デンマークで構成される。

(注3)パリ協定に基づいて作成される温室効果ガス(GHG)排出削減目標を定めた「国が決定する貢献(NDC)」。

(庄浩充)

(ベトナム)

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