ベトナムの脱炭素化に向け、日本を含むパートナーシップが155億ドルの支援を表明

(ベトナム、日本)

アジア大洋州課

2022年12月26日

ベトナムは1214日、日本を含む支援国グループ(注1)との間で、「公正なエネルギー移行パートナーシップ(JETPJust Energy Transition Partnership)」を立ち上げることで合意した。これに基づき、ベトナムの化石燃料からクリーンエネルギーへの移行を支援するため、支援国グループは今後3年から5年で少なくとも155億ドルの資金を動員する。

JETPは、パートナー国の化石燃料からの移行をドナー国が支援する目的で、国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)で立ち上げられたパートナーシップだ。パートナー国での温室効果ガス排出量の多いインフラの早期退役を加速し、再生可能エネルギーなどへの投資を支援する。ベトナムはJETP開始国として、南アフリカ共和国、インドネシアに続いて3カ国目となる。

ベトナムは、2050年までの温室効果ガスの排出量実質ゼロ(カーボンニュートラル)を目標に掲げ2021119日記事参照)、温室効果ガス削減に向けた法律改正や国家戦略の策定、NDC(注2)の改定などに取り組んできた。支援国グループはベトナムのさらなる取り組みを支援するため、アジア開発銀行(ADB)と国際金融公社(IFC)と共に775,000万ドルを確保し、グラスゴー金融同盟(GFANZ)が調整する民間金融機関による775,000万ドルの民間投資を推進する。

ベトナムは今回の合意を受け、まずは202311月までに同国でのJETP資金導入計画(ロードマップ)を策定して公表する予定だ。

今回の合意に関して、日本の岸田文雄首相は「2050年までのネット・ゼロに向けた公正なエネルギー移行をさらに加速させるとのベトナムの野心を歓迎する」と述べた。また、米国のジョー・バイデン大統領は、ベトナムが長期的なエネルギー安全保障に向けた野心的なクリーンエネルギー移行の構想においてリーダーシップを示したと評価し、「ベトナムの歴史的なコミットメントは、地球規模の気候危機との戦いを前進させると同時に、投資と経済成長を促進し、ベトナム国民に多大な機会をもたらす」と述べた。

(注1)支援国グループは、EU、英国、フランス、ドイツ、米国、イタリア、カナダ、日本、ノルウェーおよびデンマークで構成される。

(注2)パリ協定に基づいて作成される「国が決定する貢献」(Nationally Determined Contribution)。温室効果ガス削減に向けた方針を示したもので、ベトナムはCOP27に先立ち、2度目の改定版(202210月版)を公表した。

(庄浩充)

(ベトナム、日本)

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