SAE、EV充電のNACS標準化に向け技術情報報告書を発表

米国のモビリティー分野の専門機関、自動車技術者協会（SAE、本部：ペンシルベニア州ウォーレンデール、注）は12月19日、電気自動車（EV）充電へのアクセスを拡大するJ3400規格の技術情報報告書（TIR）を発表した。SAEは既にテスラの充電ポートを標準化すると発表しており（2023年6月30日記事参照）、この報告書は2023年6月にテスラが公開した充電器のコネクターの規格「北米充電標準規格（NACS）」をSAEが実装するための基礎となるものだ。これにより、新たなSAE規格のJ3400は2024年秋のリリースに近づくという。

SAE J3400 NACS EVカプラTIRは、SAEのタスクフォースで策定された。この規格化により、全てのサプライヤーやメーカーが北米全域でEVや充電ステーションでJ3400コネクターの使用、製造、展開が可能となる。また、この標準化は、直流（DC）急速充電用の給電を単相交流（AC）充電に利用できることを意味し、充電サイトでの個別の回路パネルや追加の降圧変圧器の必要性を排除し、インフラコストの削減と高効率化につながるという。

米運輸省とエネルギー省の合同事務局のゲイブ・クライン事務局長は、便利で信頼できる全国充電ネットワークの構築を支援する上で、オープンで相互運用可能な標準規格は極めて重要とコメントしている。

NACSの採用に関しては、フォード、ゼネラルモーターズ（GM）、ボルボ、新興EVメーカーのリビアンが6月までにそれぞれテスラと合意している（2023年5月29日、2023年6月12日記事参照）。7月に日産（2023年7月20日記事参照）、9月にホンダ（2023年9月11日記事参照）、10月にトヨタ（2023年10月20日記事参照）、BMW、現代、11月にスバル、12月にはフォルクスワーゲン（VW）、アウディ、ポルシェ、スカウトモーターズと続いている。

（注）航空宇宙、自動車、商用車業界の12万8,000人を超えるエンジニアや関連技術の専門家が所属する非営利団体

（見並一明）