SAE、テスラ充電ポートの標準化を発表

(米国)

ニューヨーク発

2023年06月30日

モビリティ分野の専門機関である自動車技術者協会(SAE)(本部:ペンシルベニア州ウォーレンデール、注1)は6月27日、電気自動車(EV)メーカーのテスラが自社車両向けに開発した、充電器のコネクターの規格である「北米充電標準規格(NACS)」を標準化するとの声明を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。NACSがSAE規格(SAEが発行する工業規格)になれば、現行のSAE規格「J1772」と「コンバインド・チャージング・システム(CCS)」(注2)に加え、政府の助成金などの対象となる可能性が高い(注3)。

NACSの採用に関しては、既にフォード、ゼネラルモーターズ(GM)、ボルボ、新興EVメーカーのリビアンが、それぞれテスラと合意しており、そのほか現代自動車やステランティスも検討を進めるなど、拡大が見込まれている(2023年5月29日2023年6月12日記事参照)。また、EV充電ネットワークを展開するチャージポイントは6月27日、2025年における米国市場でのNACS搭載車両の急増を見越し、2023年後半から既に設置されている充電器を含め、同社の充電器に対してNACSコネクターの追加オプションサービスを開始すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

SAEは声明の中で、エネルギー省と運輸省の共同事務所が、SAEとテスラのパートナーシップとNACSの標準化計画を促進したと評価した。また、SAEのデビッド・シャット最高経営責任者(CEO)は「われわれは、国家レベルで持続可能なモビリティを推進するために、産業界の優れた取り組みと共同事務所のような政府機関の取り組みを連携させる役割を果たせることをうれしく思う」と述べている。

(注1)航空宇宙、自動車、商用車業界の12万8,000人を超えるエンジニアおよび関連技術の専門家が所属する非営利団体。

(注2)現在利用されている充電ポートには、レベル1および2用のSAEJ1772、急速直流(DC)充電器用のCCS(SAEJ1772コンボ)、チャデモ、NACS(レベル2も含む)がある。

(注3)例えば、インフラ投資雇用法に基づくEV充電プログラム「NEVIフォーミュラプログラム」(2022年9月29日記事参照)では、助成金対象の充電器として、CCSとの互換性が求められている。NACSがSAE規格となれば、CCSへの変換は不要となる。

(大原典子)

(米国)

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