米GMのBEV、2024年からテスラ車用の充電施設が利用可能に、フォードに続く

(米国)

ニューヨーク発

2023年06月12日

米国自動車メーカーのゼネラルモーターズ(GM)は6月8日、同社製のバッテリー式電気自動車(BEV)の所有者がテスラ車用の直流(DC)急速充電器「スーパーチャージャー」を利用できるよう、テスラと合意外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしたと発表した。これにより、GM製BEVの所有者は同社のアプリを通じて、全米1万2,000基のスーパーチャージャーへのアクセスが可能となる。このサービスは米国とカナダで2024年初めに開始する。5月25日にはフォードがスーパーチャージャーの利用に関して、テスラと合意していた(2023年5月29日記事参照)。

また、GMはフォードと同様に2025年以降、充電ケーブルと車両の接続部分のコネクターの規格を現在の「コンバインド・チャージング・システム(CCS)規格」から、テスラが自社車両向けに開発した「北米充電標準規格(NACS)」に変更すると発表した。これにより、GM車はコネクターを変換するアダプタを使うことなく、スーパーチャージャーでの充電が可能となる。今回の合意により、BEVの合計販売台数で全米の約77%(2022年実績)を占める3社がNACS規格を標準装備として採用することになる。

GMのメアリー・バーラ会長兼最高経営責任者(CEO)は今回の発表について「このコラボレーションは当社の戦略の重要な一部で、顧客の急速充電器へのアクセスを迅速に拡大する重要なステップだ。これは当社の顧客にとって、EVへの移行をよりスムーズにするだけでなく、北米の充電規格の統一に向けて業界を動かす一助になる可能性がある」と述べた。

2021年11月に成立したインフラ投資雇用法に基づく充電施設の拡張プログラムなどが後押しとなり、米国内の充電器の数は徐々に増加している(2022年9月29日記事参照)。一方、公共の充電器には、不具合によって利用できないものも多い。カリフォルニア州サンフランシスコのベイエリアでは、2022年2~3月時点で公共充電器の約3割近くが使用できない状態にあるという調査結果も発表された(2022年11月22日付地域・分析レポート参照)。そうした中、テスラのスーパーチャージャーは比較的安定したサービスを提供しており、GMの顧客獲得に寄与することが期待されている。ただし、顧客情報の取り扱いなどに関して懸念の声もあり、両社の合意内容が気になるところだ。また、テスラ車の所有者からの反発も予想される。

(大原典子)

(米国)

ビジネス短信 1e7cba743163ae48