在外ドイツ企業のアンケート調査、インドでの事業に期待大

(ドイツ)

調査部欧州課

2023年11月16日

ドイツ商工会議所連合会(DIHK)は11月7日、在外ドイツ企業に対するアンケート調査「秋季ワールド・ビジネス・アウトルックPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」を公表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。DIHKは同調査を春と秋の年2回実施している。今回のアンケート調査は9月25日~10月20日に実施、ドイツ国外の会員企業約3,600社が回答した(注)。回答企業の産業分野は、鉱工業・建設業(39%)、サービス業(40%)、商業(21%)。

自社の事業の現状については、全世界平均(ドイツを除く、以下同じ)では「良い」が45%、「満足」が41%、「悪い」が14%の回答割合だった。DI値(「良い」の回答割合から「悪い」の回答割合を引いた値)は31ポイントで、前回の春季調査(2023年5月発表)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますから9ポイント悪化した。また、2015年以降の平均値35ポイントも下回った。地域別にみると、「良い」の回答割合が最も高かったのは北米の61%、最も低かった地域は中国・香港・台湾の25%だった。

今後12カ月の自社の事業見通しについては、全世界平均では「改善」が45%、「変わらない」が43%、「悪化」が12%だった(添付資料図1参照)。DI値は33ポイントで、前回調査から3ポイント悪化したが、現状に関するDI値よりも悪化が緩やかだったほか、2015年以降の平均値33ポイントと等しかった。地域別にみると、「改善」の回答割合が最も高かったのが中東・北アフリカの57%、低かったのは中国・香港・台湾の31%、非ユーロ圏・スイス・ノルウェー・英国の30%だった。

今後12カ月の自社の事業見通しに関するDI値については、DIHKがドイツ国内の会員企業を対象に行った調査(2023年11月1日記事参照)ではマイナス22で、先行き見通しには国内外で大差が出ている。

今後12カ月間の自社の所在地での投資見通しについては、全世界平均では「増やす」が33%、「変わらない」が47%、「減らす」が20%だった(添付資料図2参照)。地域別にみると、「増やす」の回答割合が最も高かったのが中東・北アフリカの46%、最も低かったのは中国・香港・台湾の25%だった。

DIHKはプレスリリースで、中国とインドに言及した。中国に関しては、ゼロコロナ政策撤廃後の需要回復が期待値に達していないことを指摘。インドに関しては、景気が好調である上に(2023年10月13日付記事参照)、(サプライチェーンや投資先などの)多元化・多様化を進めたいドイツ企業の関心が高いとした。実際に、今回調査での各質問への回答のDI値をみるとインドのDI値の高さが、サウジアラビアとともに、目立っている(添付資料表参照)。

なお、直近のドイツの国・地域別の対外直接投資については、ジェトロは「世界貿易投資動向シリーズ(ドイツ)」において2021~2022年の動向をまとめ、公表している。

(注)DIHKは、10月7日のハマスによるイスラエル攻撃およびその後の武力衝突は、今回の調査期間における今後12カ月の見通しに対する回答結果には大きな影響がなかったとしている。

(二片すず)

(ドイツ)

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