国内企業の事業・投資見通しが悪化、エネルギー・原材料価格は今後も経営リスク

(ドイツ)

調査部欧州課

2023年11月01日

ドイツ商工会議所連合会(DIHK)は10月26日、秋季景況感アンケート調査PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。同アンケートは各地の商工会議所を通じて9月11日から10月6日に実施し、国内の約2万4,000社から回答を得た。回答企業の産業は、鉱工業(26%)、建設業(7%)、商業(22%)、サービス業(45%)に分類。なお、DIHKは毎年、年初と初夏、秋に景況感アンケート調査を発表している。

今回の調査では、「今後12カ月間の自社の事業見通し」について質問。「改善」と回答した企業の割合は13%、「変わらない」が52%、「悪化」が35%だった。DI値(「改善」の回答割合から「悪化」の回答割合を引いた値)はマイナス22で、前回調査〔初夏景況感アンケート調査(2023年5月発表)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます〕でのマイナス5から悪化した。

「今後12カ月間の国内での自社の投資見通し」については、「投資を増やす」と回答した企業が24%、「変わらない」が45%、「投資を減らす」が31%だった(添付資料図参照)。「投資を減らす」の回答割合は全産業部門で前回調査から増加。鉱工業部門での増加幅が最も大きかった。

今後12カ月間に自社の経営上のリスクになりうる事項を複数の選択肢から選ぶ質問(複数選択可)では、「エネルギー・原材料価格」を選択した企業が61%、「熟練・専門労働者不足」が58%、「国内需要」と「労働コスト」がそれぞれ53%、「経済政策」が51%だった(添付資料表1参照)。「経済政策」を選択した企業の割合が鉱工業部門で50%を超えたのは、2010年の秋季景況感アンケート調査でこの選択肢が追加されて以降初めてで、ドイツ国内企業に対する経済政策の影響の強まりが表出した。

調査結果に対し、DIHKのマルティン・バンスレーベン事務局長は「これまでのところ、好転の兆候は見られない」とする一方、「今のドイツには多くのことを改善するチャンスがある」と述べ、政治に対して、企業への一層の支援と煩雑な行政手続きの簡易・迅速化を求めると強調した。

DIHKは秋季景況感アンケート調査結果と同時に、経済見通しも発表した(添付資料表2参照)。2023年の実質GDP成長率はマイナス0.5%と予測、政府の経済予測(2023年10月20日記事参照)を0.1ポイント下回った。

(二片すず)

(ドイツ)

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