中銀、政策金利を15%に引き上げ、インフレ圧力が続く

(ロシア)

調査部欧州課

2023年11月02日

ロシア中央銀行は10月27日に行われた金融政策決定会合で、主要政策金利(キーレート)を13.0%から15.0%とすることを決定した。30日から適用された(添付資料図参照)。ロシア中銀の予想を上回る物価上昇圧力の高まりから、2024年末までに目標の4%に向けてインフレ率を抑制するのが狙い。

中銀のエリビラ・ナビウリナ総裁は10月27日の記者会見の中で、預金金利が上昇し家計の定期預金への需要が増加していることや無担保消費者ローンの貸し出しが若干減速していることを挙げ、金融の引き締めの効果がでているとした。しかし、供給を上回る内需の拡大や拡張的な財政政策が続いていることが現在のインフレに寄与しているという。また、今後3年間は政府支出の増加が見込まれることや(2023年10月11日記事参照)、労働市場の人手不足と生産の供給不足もインフレ圧力が続く理由だと説明した。

自国通貨安による物価上昇圧力は、貿易収支の改善と8月からの利上げにより低下した(2023年8月22日記事参照)。しかし、ナビウリナ総裁は通貨ルーブル安の対策で導入した外貨強制売却制度の効果が短期にとどまることや(2023年10月23日記事参照)、世界経済の減速が自国通貨安の要因になると指摘した。

金融政策の見通しについて、ナビウリナ総裁は、現在の物価上昇と期待インフレが低下しない場合には追加の引き上げをする考えを示した。2023年のインフレ率見通しを7.0~7.5%とし、7月時点の見通しと比べ下限値を1.0ポイント、上限値を0.5ポイント引き上げた(2023年9月20日記事参照)。2023年11~12月のキーレートが平均で15.0~15.2%、2024年は12.5~14.5%になると述べた上で、2024年末までにインフレ率を目標の4%の水準で安定させるとした。

次の理事会は2023年12月15日に予定されている。

(小野塚信)

(ロシア)

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