中銀、政策金利を12%に引き上げ、インフレ抑制が狙い
(ロシア)
調査部欧州課
2023年08月22日
ロシア中央銀行は8月15日の緊急会合で、主要政策金利(キーレート)を8.5%から12.0%とすることを決定し、同日から適用した(添付資料図参照)。インフレ目標の4%に向け、物価上昇圧力を抑制するのが狙い。
利上げの理由について、中銀は、8月7日時点で年間インフレ率や、価格変動が大きい特定の商品やサービスを除いたコアインフレ率が加速していることを挙げた。内需の急速な拡大に供給が追いついておらず、物価上昇圧力が高まっているとした。また、輸入が増加して通貨ルーブル安が進行していることや、インフレ期待が高い水準にあることも利上げの理由とした。
中銀の8月15日付公示レートでルーブルの対ドル為替レートは2022年3月以来の1ドル=約101.0399ルーブルに下落したが、16日には1ドル=約97.4217ルーブルに戻した。ルーブルはロシアによるウクライナ侵攻直後の急激な下落から持ち直したが(2022年4月12日記事参照)、2022年6月30日に1ドル=約51.1580ルーブルを記録して以降は下落傾向が続いている。大統領府のマクシム・オレシキン大統領補佐官は、現在の為替レートは経済の基礎的条件(ファンダメンタルズ)から大幅に乖離しており、ルーブル安とインフレが加速している原因は金融緩和政策にあるとした。また、ルーブル安は経済や国民の実質所得に悪影響を及ぼすとの見解を示した(タス通信8月14日)。
中銀は、現在の物価上昇が続けば、2024年のインフレ率は目標を超えるリスクが高いとした。今回の利上げはインフレ率を2024年に目標の4%に戻し、物価を安定化させるのに必要と説明した。次の理事会は2023年9月15日に予定されている。
(小野塚信)
(ロシア)
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