10月16日から輸出獲得外貨収入の強制売却が再開

(ロシア)

調査部欧州課

2023年10月23日

ロシアで10月16日、輸出獲得外貨の強制売却制度が再導入された。ウラジーミル・プーチン大統領が10月11日、同措置を規定した大統領令に署名したことによるもの。輸出獲得外貨の強制売却が導入されるのは2022年6月以来、1年4カ月ぶり。

6カ月間の時限措置で、対象となるのはエネルギー資源、鉄鋼、非鉄金属、化学、木材、穀物などの輸出企業43社。ただし、10月19日時点で関連の公式文書(大統領令、政府決定など)が非公表のため、内容の詳細は確認できていない。政府機関紙のロシア新聞(10月16日付)によると、対象となる企業は、輸出獲得外貨の80%以上を国外口座への外貨入金日から60日以内に自社のロシア国内の銀行口座に送金することが義務付けられた。また、ロシアの口座に着金後2週間以内に送金額の90%以上を、輸出契約金額の50%以上を国外口座への外貨の入金日から30日以内に、ロシア国内の外国為替市場で売却することがあわせて義務付けられたもようだ。

外貨強制売却措置の再導入は、下落が続くルーブル為替レート対策とされる(ロシア新聞10月16日)。ルーブルの対ドル為替レートは2022年6月30日以降緩やかな下落基調が続き、2023年8月15日には2022年3月24日以来となる1ドル=100ルーブル割れを記録した。これに対しロシア中央銀行は、8月15日に緊急に主要政策金利(キーレート)を8.5%から12%に引き上げたが(2023年8月22日記事参照)、抜本的な対策にはならず、その後もルーブルの下落基調は続いていた。

輸出獲得外貨の強制売却措置は、ロシアによるウクライナ侵攻に対する欧米諸国の経済制裁措置への対抗措置として、2022年2月28日に導入された(2022年3月4日記事参照)。強制売却比率は当初80%、同年5月23日に50%に引き下げられ、同年6月10日に撤廃されていた。

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(ロシア)

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