地政学の変化、環境問題が中央アジア5カ国の結合を強化

(カザフスタン、ウズベキスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、米国)

タシケント発

2023年10月05日

9月19日に米国ニューヨークで、中央アジア5カ国+米国「C5+1」(注)首脳会議(2023年9月27日9月29日記事参照)が開催された。同会議に関連し、専門家の見方が、「地政学的環境の急激な変化や環境保護など地域横断型の問題が中央アジア5カ国の政策・経済の一体化を促している」との考え方で一致していることが、各種現地報道からわかった。次に主要な専門家の見方を紹介する。

〇米国ピッツバーグ大学ガバナンス市場センターのジェニファー・ブリック・ムルタザシビリ所長は、メディアへのインタビューで「中央アジア諸国は一国では力が弱いことを自覚しており、経済統合への機運が高まっている。統合を通じて国際的影響力を持つことが可能で、米国はこの動きを後押しすることになるだろう」と述べた(アザティック・ラジオ9月19日)。

〇モスクワ国際関係大学(MGIMO)欧州・アジア研究センターのイワン・ズエンコ主任研究員は論説の中で、「C5+1」会議形式自体が中央アジア諸国の統合を促していること、米国は今回のサミットを通じて同地域に戦略的重要性があることを世界に知らしめたと評した(モスクワ大学情報分析センター・ウェブサイト9月21日)。

〇カザフスタンの下院議員で政治評論家のアイドス・サリム氏は「C5+1サミット-米国の狙いは?」と題した討論番組で、地政学的環境の急激な変化により、物流や安全保障の観点から中央アジア諸国の地域としての重要性が高まっていることが今回のサミット開催につながったと指摘した。また、中央アジア諸国は水資源問題(2023年9月8日記事参照)の解決などもあり、地域の連携が不可欠と指導者レベルは痛感していると述べた(「アタメケン・ビジネス・ニュース」9月20日)。

(注)中央アジア5カ国と特定国が1つの会議を開催する方式は「C5+1」と呼ばれ、2022年までは外相レベルで日本などを対象に定期的に開催されていた。2022年10月にロシアが「C5+1」形式での首脳会合を開催し、その後、EU(2022年10月、2023年6月)、中国(2023年5月、2023年5月23日記事参照)、米国(2023年9月)、ドイツ(2023年9月)と続いている。

(増島繁延)

(カザフスタン、ウズベキスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、米国)

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