中国で「中国・中央アジアサミット」開催、5カ国に5,000億円超を支援

(中国、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン)

北京発

2023年05月23日

中国の陝西省西安市で5月18~19日、中国と中央アジア5カ国による「中国・中央アジアサミット」が開催された。習近平国家主席のほか、カザフスタンのカシムジョマルト・トカエフ大統領、キルギスのサディル・ジャパロフ大統領、タジキスタンのエモマリ・ラフモン大統領、トルクメニスタンのセルダル・ベルディムハメドフ大統領、ウズベキスタンのシャフカト・ミルジヨエフ大統領が参加した。

習国家主席は19日の基調講演で、主権、独立、民族の尊厳、長期的発展などの核心的利益に関する各国との協力のほか、内政干渉、「カラー革命」、「三つの勢力」(注1)への反対を呼びかけた。その上で、産業、投資、農業、交通、危機管理、教育、政党などの分野での対話メカニズム構築や、鉄道・道路の相互接続、エネルギー分野での協力拡大などを示した。また、中央アジア諸国の発展に向け、260億元(約5,200億円、1元=約20円)の融資と無償援助を行うとした。

19日には「中国・中央アジアサミット西安宣言」が発表された。今後の方向として、参加国は中国・中央アジア運命共同体の構築に向けて協力するとされた。また、サミットは2年ごとに開催し、中国と今回参加した5カ国のうち担当となる国が交代で主催(注2)するとした。常設事務局設置についても検討する。その他、2023年にウズベキスタンで食糧安全保障に関する国際会議を開催するとした。

また、サミットの「成果リスト」を発表した。リストには、(1)協力についてのコンセンサスとイニシアチブ(54項目)、(2)中国のイニシアチブによる多国間協力プラットフォーム(19項目)、(3)サミットの枠組み内での多国間協力文書(9項目)が挙げられている。

サミットに合わせて17~18日には、習国家主席と5カ国の大統領との個別会談が開催された。うち、キルギスとは「新時代の全面的戦略パートナーシップ」に関する共同宣言を発表した。

5月20日付の環球時報は、サミットでは100を超える協力協議が署名されたとして、その成果を強調した。その上で、成果の背景には「運命を共にする」という強いコンセンサスがあると評した。また、22日付の記事では、5月19~21日に開催されたG7広島サミットのコミュニケに中国に関する内容が盛り込まれたことに言及し、「G7は世界の平和と発展における最大のリスクの1つ」と評した。

(注1)テロリズム、分離主義、宗教的急進主義。

(注2)2年ごとに中国と、5カ国のうちアルファベット順で担当となった国の持ち回りで開催する。中国では4年に1度の開催となる。

(河野円洋)

(中国、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン)

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