商務部、台湾に対する貿易障壁調査を3カ月延長

(中国)

調査部中国北アジア課

2023年10月10日

中国・商務部は10月9日、台湾の貿易制限措置について実施している貿易障壁調査について、調査期限を2024年1月12日まで3カ月延長すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同調査は2023年4月12日から開始され、当初の予定では10月12日までとされていた(注1、2023年4月13日記事参照)。4月12日付公告によると、特別な事情がある場合に同調査は2024年1月12日まで延長できるとされていた。今回の公告では、案件の状況が複雑なため「対外貿易障壁調査規則」第32条に基づき、延長を決定したとしている。

商務部は2023年4月12日、業界団体の申請を受け、「対外貿易法」第36条、第37条と「対外貿易障壁調査規則」第12条の規定に基づき、台湾の中国に対する貿易制限措置について貿易障壁調査を行うとする公告外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。

調査対象は、台湾が制定し現在実施している中国大陸産品に対する輸入禁止関連措置で、農産品や化学工業製品、繊維製品などが含まれる。

商務部報道官は8月17日、同調査について、予備調査の結果、台湾の中国に対する貿易制限措置はWTOの無差別原則や数量制限の一般的廃止の原則に違反している疑いがあり、また、台湾による中国大陸産品の輸入禁止の範囲は近年拡大傾向にあり、同調査の対象範囲は2,509品目に上ると紹介した。また、ECFA(注2)に基づき、台湾産品に対して行っている税制優遇措置の停止または一部停止の可能性については、同調査の状況を踏まえて、関連規定に基づき、相応の措置を取ることを検討するとした。

なお、中国・海関総署は2021年3月1日から台湾産パイナップルの輸入を有害生物の検出を理由に一時停止した(2021年3月3日記事参照)ほか、同年9月20日から台湾産果物のバンレイシ(釈迦頭)とレンブ(蓮霧)、2022年6月13日から台湾産高級魚のハタ、同年8月3日からは台湾産かんきつ類、タチウオ、冷凍アジの輸入を一時停止すると発表した(注3)。なお、直近では2023年8月21日に、病害虫の検出を理由として台湾産マンゴーの輸入を同日から一時停止すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしている。

(注1)台湾の中央選挙委員会は、次期総統選挙の投票日を2024年1月13日と発表している(2023年4月17日記事参照)。

(注2)2010年6月に締結された「海峡両岸経済協力枠組み協定」。物品・サービス貿易の一部開放などを規定しており、アーリーハーベスト品目について関税減免が実施されている。

(注3)バンレイシ(釈迦頭)については、2023年6月20日からの条件付き輸入再開を発表している(2023年6月27日記事参照)。

(小宮昇平)

(中国)

ビジネス短信 202438e49c565b28