台湾、中国の貿易障壁調査に対し状況次第で対話に応じる構え

(台湾、中国)

中国北アジア課

2023年04月17日

台湾の経済部国際貿易局は4月12日、中国商務部が中国に対する台湾の貿易制限措置について貿易障壁調査を行うとする公告(注)を発表したこと(2023年4月13日記事参照)に対して、台湾の対応方針を説明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。ポイントは以下のとおり。

  1. 台湾の対中輸入は、1993年に制定した「台湾地区と大陸地区貿易許可弁法外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」によって管理し、国家安全と関連産業に重大な悪影響を及ぼさない品目の場合、輸入を許可している。国際貿易局では2カ月に1度、中国大陸物品輸入開放審査会議を行い、域内の需要に応じて輸入を開放しており、既に9,835品目の農産品・工業産品を許可している。
  2. 台湾側の理解では、中国の「対外貿易障壁調査規則」第14条に定められているとおり、公告後に台湾側に通知されるべきだが、台湾当局は通知を受け取っていない。中国側が貿易障壁に該当すると認定するのであれば、中台双方による交渉の上、マルチの紛争解決メカニズム、もしくはその他の適当な措置を取るべきだ。
  3. 両岸の貿易は相互補完的であり、世界のサプライチェーンで重要な地位を担っている。中国は貿易問題を複雑化して世界経済の発展を妨げるべきではない。台湾としては、両岸の経済構造が異なる点を考慮し、必要ならば前提条件を設けない状況下で、貿易協議を行うことも歓迎する。

このほか、台湾の大陸委員会は、今回の中国側の措置は台湾の関連業者に対する妨害であり、両岸の貿易協力と発展に全くプラスにならないと強調した(「経済日報」4月12日)。

台湾の国立中央大学経済学系の邱俊栄教授は「中国がこのタイミングで台湾に対する貿易障害調査を開始するのは、軍事演習と同じような意味を持ち、(2024年1月の)台湾総統選挙への影響を意図している可能性も排除できない。経済や貿易の観点よりも政治的な意図の方が大きいだろう」と指摘した(「聯合報」4月13日、注)。

なお、中国は台湾にとって輸出、輸入双方で最大の貿易相手であり、2022年の台湾の輸入額における中国(香港含む)のシェアは20.0%だった。

(注)中国商務部の公告によると、調査は4月12日から10月12日までの期間に実施され、特別な事情がある場合は2024年1月12日まで延長できるとされている。なお、台湾の中央選挙委員会は、台湾の次期総統選挙の投票日を2024年1月13日と発表していた。

(江田真由美)

(台湾、中国)

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