タタ・スチール、脱炭素化に向け英国製鉄業界で過去最大級の投資を決定
(インド、英国)
調査部アジア大洋州課
2023年09月22日
インドの鉄鋼大手タタ・スチールは9月15日、英国ポートタルボット製鉄所へ総額12億5,000万ポンド(約2,287億円、1ポンド=約183円)を英国政府と共同で投資すると発表した。同社の発表によれば、投資額のうち最大5億ポンドは英国政府からの助成となる予定で、同国製鉄業界への投資額としては過去最大規模となる見込みだ。また英国政府は、今回の投資を通じて操業寿命間近だった同製鉄所施設のインフラ更新で脱炭素化が図られることにより、英国全体の温室効果ガス排出が約1.5%削減となるほか、5,000人の現地雇用が保護されるとした(2023年9月22日記事参照)。
他方、インド国内でも鉄鋼業における脱炭素化の機運が高まりつつある。インド政府は、鉄鋼製造にグリーン水素を利用することなどを目的として、2023年1月に「国家グリーン水素ミッション」を承認した(2023年8月24日付地域・分析レポート参照)。また8月には、本政策推進に向けて「グリーン水素」の定義を通達している(2023年8月31日記事参照)。世界では、グリーン水素の定義付けを行う国家は少数派で、国家政策を受けたインド国内における鉄鋼業の動向が注目される。
(深津佑野)
(インド、英国)
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