タタ・スチールの電炉転換へ政府が資金提供、BMWもEV製造強化へ投資

(英国、インド、ドイツ)

ロンドン発

2023年09月22日

英国政府は9月15日、インドの大手製鉄タタ・スチールと同社への資金提供について合意外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。英国におけるタタ・スチールの製鉄所の脱炭素化に向けて約5億ポンド(約915億円、1ポンド=約183円)の補助金を提供する。タタ・スチール自身による投資と合わせて、投資規模は総額約12億5,000万ポンドとなる。

資金提供の対象となるのは、ウェールズ南部ポートタルボットの同社製鉄所高炉。二酸化炭素(CO2)の排出が少ない電炉への転換のために資金が投じられる。政府によれば、この電炉への転換により、英国全体のCO2排出量の約1.5%が削減されるという。

タタ・スチールは現在、英国内で約8,000人を雇用し、サプライチェーンの上流を含めるとさらに約1万2,500人の雇用に関与しているとされる。政府によれば、今回の投資決定により、英国全体で約5,000人を超える雇用を保護することが可能としている。

BMWも投資を決定、工場を完全EV生産に転換へ

ドイツの自動車大手BMWは9月11日、英国の工場における電気自動車(EV)製造への完全転換に向け、計6億ポンド投資すること発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。対象となるのは、小型車「ミニ」を製造するオックスフォードの車体製造工場とスウィンドンの車体プレス工場。オックスフォード工場では、2019年から小型車「ミニ」の現行EVタイプが製造されている。今回の投資により、2026年から新型EVが製造開始される予定。その後、2030年にはすべての製造車両がEVとなる見込みとしている。

政府は、英国の自動車産業が将来にわたって繁栄するよう、新工場やアップグレードへの支援を提供することで、産業界からの投資を確保していると説明。今回のBMWに加え、2023年9月7日には自動車大手ステランティスが、1億ポンドの投資を経て、英国エルズミアポート工場をEV専用工場に転換し、生産を開始したことを発表した。また、7月には、インド財閥大手タタ・グループが、投資規模約40億ポンドのEV向け超大型バッテリー工場「ギガファクトリー」を英国で設立することを発表している(2023年7月27日記事参照)。

(菅野真)

(英国、インド、ドイツ)

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