マルチ・スズキ、SMGの株式を100%取得、生産能力の増強へ

(インド)

アーメダバード発

2023年08月07日

インド自動車最大手のマルチ・スズキは7月31日、インド西部グジャラート(GJ)州に工場を持つ、スズキの100%子会社であるスズキ・モーター・グジャラート(SMG)の全株式を取得し、子会社化すると発表した。

マルチ・スズキはハリヤナ州グルガオン、マネサールの既存工場や、2025年に稼働予定のカルコダ新工場での生産に加え、新たに100万台規模の生産能力を有する工場建設を発表している(2022年9月1日記事参照)。今般の発表は、インドの自動車市場の成長と輸出の拡大に伴い、2030/2031年度までに生産能力を現状の2倍相当となる400万台に増強する計画だ。

他方、インド政府のカーボンニュートラル推進に向け(2021年11月5日記事参照)、今後、電気自動車(EV)、ハイブリッド、圧縮天然ガス(CNG)、エタノールなど複数のパワートレイン技術が長期間共存していくことが予想される。これに伴い大規模化、複雑化する生産とサプライチェーンを管理するため、全ての生産関連活動をマルチ・スズキが統括することになる(マルチ・スズキのプレスリリース)。

SMGは、マルチ・スズキと生産委託契約を結び、2017年から同社に車両を供給している。マルチ・スズキがSMGを取得することにより、現在の生産委託契約は終了するが、車両の生産体制に影響はなく、GJ州におけるバッテリー式電気自動車(BEV)およびBEV向け車載用電池の生産計画はマルチ・スズキが引き継ぐとしている。

スズキは、2022年3月の岸田文雄首相のインド訪問に合わせ、BEVおよびBEV向け車載用電池の現地生産に約1,500億円を投資することに関し、GJ州と覚書を締結した(2022年3月22日記事参照)。SMGはGJ州ハンサルプールの同社工場に隣接する土地にBEV向け車載用電池工場を建設する計画で、2022年8月28日に州都ガンディーナガルで開催されたスズキのインド進出40周年記念式典では、工場建設予定の定礎式も併せて行われていた(2022年9月1日記事参照)。

(飯田覚)

(インド)

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