エルドアン・トルコ大統領、中東湾岸3カ国歴訪

(トルコ、サウジアラビア、カタール、アラブ首長国連邦)

イスタンブール発

2023年07月25日

トルコのレジェップ・タイップ・エルドアン大統領は71719日、サウジアラビア、カタール、アラブ首長国連邦(UAE)を歴訪し、各国首脳と会談した。

同大統領は訪問に先立って、今回の歴訪の目的は各国との2国間関係の発展で、特に投資と金融に大きな期待を寄せていると強調した。大統領は「トルコは3カ国の防衛産業やインフラ、建築への投資で大きな機会を得るだろう」とし、同時に湾岸3カ国に「トルコの特定資産を購入する機会が与えられるだろう」と述べた。

大統領には、海外経済関係評議会(DEIK)が率いる200人規模のトルコ企業関係者も同行しており、3カ国でビジネスフォーラムが開催された。

717日に訪問したサウジアラビア(2023724日記事参照)では、直接投資、防衛産業、エ​​ネルギー、通信の分野で協定が結ばれ、トルコの防衛関連企業バイカルが攻撃型ドローンの販売契約を獲得した。また、両国は精製石油の生産・販売や、石油化学製品の生産分野での協力に関する覚書(MoU)に署名した。

18日に訪問したカタールでは、今回のエルドアン大統領訪問に先立って、6,000万ドル以上を投資し、トルコと共同で半導体生産を行うことを決定したと報じられている。

特に注目すべきは、19日に訪問したUAEとの507億ドル規模の投資覚書(MoU)の調印で、エネルギーや交通、インフラ、物流、防衛産業、人工知能(AI)・先端技術などの13分野からなる(719日付トルコ国営アナドル通信外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。また、両国は高等戦略評議会の設立でも合意外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしている。

トルコ政府の当初の目標額250億ドルを超える湾岸3カ国からの投資合意の具体的な内容は公開されていないが、アブダビ開発ホールディング(ADQ)が震災復興のための国債85億ドルの購入や、トルコ輸出入銀行への30億ドル相当のクレジット提供を明らかにしたことは、短期的にもトルコ政府の財政に寄与する朗報となった。

トルコは2017年にサウジアラビア、UAEがカタールと対立した際に、後者を支持したことなどから、両国との関係が悪化したが、202111月にUAE20211126日記事参照)、20224月にサウジアラビアとの関係改善(2022624日記事参照)に踏み出した。UAEから50億ドル相当の通貨スワップ、サウジアラビアからは50億ドルのトルコ中央銀行への預金などを得ており、カタールとの150億ドル相当の通貨スワップとともに、重要な資金調達先となっている。

(中島敏博)

(トルコ、サウジアラビア、カタール、アラブ首長国連邦)

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