バーデン・ビュルテンベルク州、企業誘致戦略の具体的措置を決定

(ドイツ)

ミュンヘン発

2023年06月01日

ドイツ南西部バーデン・ビュルテンベルク(BW)州政府は5月23日、企業誘致戦略の具体的措置を決定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同措置は2022年5月に発表した企業誘致戦略骨子を基に、1年かけて検討してきたもの。

ビンフリート・クレッチマンBW州首相は今回の決定に際して、「重要な将来の産業と企業を巡る厳しい競争の中で、われわれは素早く行動し、臨機応変で迅速に適応する構造と適切な提案で優位に立ち、国際的な企業立地マーケティングでより知名度を高める必要がある」とし、「それをこの戦略で実現したい」とコメントした。

可能性のある特定産業・分野を定めて、国外企業の誘致を行うとともに、州内企業の拡張投資なども支援する。また、スタートアップにも重点を置き、国外からスタートアップの州内誘致、州内のスタートアップ企業支援も行う。このような事項へ対応するワンストップ機能を、BW州の国際展開支援機関「バーデン・ビュルテンベルク・インターナショナル(BW_i)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」に持たせる。戦略実行の予算として、2023年に435万9,000ユーロ、2024年に410万9,000ユーロを確保する。

今後、可能性のある特定産業・分野を調査し、当該分野の専門家で最大4人の「誘致スカウト」を配置する。2022年に発表した骨子では、有望分野として、グリーンテック、インダストリー4.0、量子技術、バイオ情報学、ヘルスケアなどが挙がった。BW州は水素などグリーンテックに力を入れているほか(2023年5月17日記事参照)、量子技術でも州戦略を発表(2023年5月2日記事参照)、インダストリー4.0でも州内に多くのプロジェクトがある(2020年8月13日記事参照)。BW州は、州別の名目GDP額(2022年/速報値)では、ドイツ16州中、ノルトライン・ウェストファーレン州、バイエルン州に続く3位に位置するなど、経済力が強く、産業も集積している。

BW_iはもともと、BW州内企業の輸出促進のため、州政府が1984年に設立した組織。2000年代初めに組織改編し、州内企業の国際展開とともに、外国企業誘致の機能も持った。現在では、(1)BW州の企業立地マーケティング・国際展開支援、(2)企業誘致、研究者・学生などの州内研究支援、(3)ネットワーク構築・イノベーション支援などを担っている。

(高塚一)

(ドイツ)

ビジネス短信 7ab532cac700398e