米ボストンでジャパン・イノベーション・ナイト開催、日米バイオテックエコシステム間交流を促進

(米国、日本)

ニューヨーク発

2023年06月26日

ジェトロは68日、米国ボストン市の代表的なインキュベーション施設ケンブリッジ・イノベーション・センター(CIC)とともに、日米バイオテックエコシステム間の連携促進を目的とした交流イベント「ジャパン・イノベーション・ナイト(Japan Innovation Night)」を開催した。同市で658日に開催された「BIO International Convention 2023」(2023年6月20日記事参照)に合わせて開催した。日米のバイオテック関連の投資家、大学・研究機関関係者、起業家など約750人が参加した。同市は著名な大学・研究機関、ライフサイエンス関連企業、スタートアップ支援機関などが集積する世界有数のバイオテックエコシステムを形成している。

イベントの冒頭では、岸田文雄首相からのビデオメッセージが放映された。岸田首相は「今こそ、日本の創薬スタートアップに投資する時だ」と、日本のバイオテックエコシステムへの一層の投資を呼びかけた。

写真 岸田首相からのビデオメッセージ放映の様子(ジェトロ撮影)

岸田首相からのビデオメッセージ放映の様子(ジェトロ撮影)

続く基調講演では、経済産業省の田中一成政策統括調整官が、総額3,500億円の基金を活用して日本の創薬スタートアップの海外市場での事業化を支援する「創薬ベンチャーエコシステム強化事業」や、日米間の協力枠組み「日米商務・産業パートナーシップ(JUCIP)」(注1)を通じた日米連携の取り組みを紹介した。また、バイオインダストリー協会(JBA)の塚本芳昭専務理事が、日本各地で成長するバイオコミュニティやそこから生まれるバイオテックスタートアップの動向を紹介した。

写真 経済産業省による基調講演の様子(ジェトロ撮影)

経済産業省による基調講演の様子(ジェトロ撮影)

日系バイオテック企業によるピッチセッションでは、再生医療やRNA編集技術に基づく創薬を開発する11社が登壇し、自社製品・技術を紹介するとともに、共同研究などでの連携を呼びかけた。

写真 日本企業によるピッチセッションの様子(ジェトロ撮影)

日本企業によるピッチセッションの様子(ジェトロ撮影)

さらに、経団連バイオエコノミー委員会の小坂達朗委員長が、バイオエコノミー社会の到来に向けたバイオトランスフォーメーション(BX)について説明した。ライフサイエンス・イノベーション・ネットワーク・ジャパン(LINK-J)、東京都、横浜市、神戸市は、日本各地の優れた大学発技術や成長著しいバイオテックエコシステムについてプレゼンテーションを行った。

イベント参加者からは、「日本のバイオテックへの投資を呼びかける岸田首相の力強いメッセージが印象的だった」「日本とボストン地域の連携がますます強まっていることを肌で感じることができた」といった声が聞かれた。

なお、本イベントは、ジェトロが運営する国際ビジネス連携を目的としたプラットフォーム「J-BRIDGE」プログラム(注2)の一環として実施された。「J-BRIDGE」はJUCIPの下、日米の民間分野の交流を促進する役割を担っている(2023年5月29日記事参照)。

(注1202111月に設立された日米間の協力枠組み(2021年11月15日記事参照)。日米経済の競争力や強靱(きょうじん)性、安全保障を強化し、気候変動など地球規模の共通課題に対処し、繁栄を成し遂げ、自由で公正な経済秩序を維持することを目的としている。JUCIPの下、日米は米国商務省主催の「セレクトUSAサミット」(2023年5月8日記事参照)やジェトロの「J-BRIDGE」などを通じて、民間分野の交流促進にも継続的に取り組むとしている。

(注2)日本企業とスタートアップなどの海外企業の国際的なオープンイノベーション創出を目的とした会員制(無料)のビジネスプラットフォーム。詳細はジェトロのウェブサイトを参照。

(平本諒太)

(米国、日本)

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