ペンス前副大統領ら共和党有力者、相次いで2024年米大統領選への立候補を表明

(米国)

ニューヨーク発

2023年06月08日

米国のトランプ前政権で副大統領を務めたマイク・ペンス氏をはじめ、共和党の有力者3人が6月6~7日に相次いで2024年大統領選挙への立候補を表明した。共和党からは、ドナルド・トランプ前大統領を含む複数名が既に立候補を表明しており、党代表候補の指名獲得に向けて厳しい戦いが予想される(注)。

ペンス氏は6月7日早朝、ツイッターにビデオメッセージを投稿し、「ジョー・バイデン大統領と原理主義的な左派がインフレや南部国境の混乱、敵対国の台頭を引き起こし、米国を内外で弱体化させている」と、現政権と民主党を批判した。その上で「異なる時期には、異なるリーダーが求められる。結束すれば、この国を取り戻せる」として立候補の意向を表明した。ペンス氏はインディアナ州出身の64歳で、同州選出の連邦下院議員を務めた後、2013年に同州知事に就任した。知事在職中の2016年にトランプ氏から副大統領候補に指名され、2017年1月から2021年1月まで副大統領を務めた。ビデオメッセージではトランプ氏への言及はなかったが、トランプ政権退陣直前の2021年1月6日に起きた連邦議事堂襲撃事件について、同氏を批判する発言をしており、たもとを分かつ姿勢を明らかにしている。

ペンス氏のほか、6月6日に2010~2018年にニュージャージー州知事を務めたクリス・クリスティ氏(60歳)が、7日には2016年からノースダコタ州知事を務めているダグラス・バーガム氏(66歳)がそれぞれ立候補を表明した。クリスティ氏は2016年の大統領選にも立候補したが、予備選挙の実績が振るわずに途中で撤退し、トランプ氏を支持した経緯がある。しかし、トランプ氏が2020年の大統領選挙の結果に不正を唱えて以降、同氏を公然と批判し続けている。立候補を表明するツイートでも「私だけがドナルド・トランプと対峙(たいじ)して、真実を伝えることができる候補者だ」と述べ、対決姿勢を鮮明にしている。バーガム氏はマイクロソフトの上級副社長を務めたほか、不動産企業やベンチャーキャピタルを設立するなど、豊富なビジネス経験を有する。ツイッターに投稿したビデオメッセージでも、知事就任後も含むプロビジネスの実績を強調するとともに、規制緩和によるイノベーションの創発や石油ガス資源の開発推進などを主張し、経済に焦点を当てている。

共和党候補者の支持率に関する最近の世論調査では、トランプ氏が50%を超えて圧倒的な立場を維持しており、フロリダ州知事のロン・デサンティス氏が20%台で続いている。そのほかの候補者はいずれも1桁台となっている(2023年5月25日記事参照)。通例どおりならば、2024年2月から各州で予備選挙・党員集会が実施され、選挙戦が本格化する。2024年7月にウィスコンシン州ミルウォーキーで開催予定の共和党全国大会で、どの候補が党代表に指名されるか、今後の動向に注目だ。

(注)これまで立候補を表明した主な共和党候補者は次のとおり。

(磯部真一)

(米国)

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