ヘイリー元国連大使が2024年米大統領選への立候補表明、トランプ氏に続き共和党で2人目

(米国)

ニューヨーク発

2023年02月15日

米国のトランプ前政権で国連大使を務めたニッキー・ヘイリー氏は2月14日、2024年の大統領選挙に立候補すると表明した。共和党からは、2022年11月に立候補を表明したドナルド・トランプ前大統領に続いて2人目となる(2022年11月16日記事参照)。

ヘイリー氏は、米国南東部サウスカロライナ州出身のインド系米国人で、2011~2017年にインド系女性として初めて同州知事となって2期務めた。知事2期目の途中で当時のトランプ大統領から国連大使に指名され、2017~2018年の2年間、同職を務めた。内政と外交の両方に通じていることが1つの強みとされる。

自身のツイッターアカウントに掲載した立候補表明のビデオメッセージでは、冒頭で「私はインド系移民の誇りある娘だ。黒人でも白人でもなく、私は異なっていた」と述べ、自身のルーツを強調している。また、共和党候補が過去8回の大統領選挙で7回、一般投票の得票数で民主党候補に負けている点(注)や、首都ワシントンのエスタブリッシュメント層の機能不全を指摘し、新たな世代の必要性を説いた。再選に向けて立候補の意向を固めているとされる現職のジョー・バイデン大統領が80歳、トランプ氏が76歳の一方、ヘイリー氏は51歳で若さを強調したものと考えられる。その上で、ヘイリー氏は優先課題として「責任ある財政」と「国境の安全強化」を挙げ、「われわれの国家、誇り、目的を強化する」という理念を掲げた。

共和党からはトランプ氏とヘイリー氏以外にも、立候補を検討している潜在的な候補が多数いるとされる。米国メディアによると、フロリダ州知事のロン・デサンティス氏、前副大統領のマイク・ペンス氏、連邦上院議員のティム・スコット氏(サウスカロライナ州)、前国務長官のマイク・ポンペオ氏などが取り沙汰されている。ロイターとイプソスが共和党の登録有権者を対象に、2024年大統領選挙の支持候補を尋ねた世論調査(2月6~13日)によると、トランプ氏(43%)が首位で、デサンティス氏(31%)、ペンス氏(7%)、ヘイリー氏(4%)と続いた。ヘイリー氏が早期の立候補表明を踏まえ支持率を巻き返せるか、今後の動向に注目が集まる。

(注)米国の大統領選挙は、人口に基づいて各州に割り振られた選挙人(合計538人)の投票数で最終的な結果が決まるため、必ずしも一般投票の得票数が多い候補が勝利するとは限らない。直近の例では2016年の選挙で、民主党のヒラリー・クリントン候補(6,584万票)が一般投票で共和党のトランプ候補(6,299万票)を上回ったが、選挙人投票で232票対306票となり敗退した。

(磯部真一)

(米国)

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