スタートアップ・ビレッジ2023が開催、BRICS、ASEANとの協力強化

(ロシア)

欧州課

2023年06月08日

モスクワ郊外のイノベーション拠点スコルコボ・イノベーションセンターで52425日の両日、「スタートアップ・ビレッジ2023」が開催された。スタートアップ・ビレッジは2013年から始まったロシアCIS地域最大級のスタートアップ支援イベント。今回で11回目を数える(2018611日記事2019611日記事202061日記事参照)。

写真 ロシア・スタートアップのデモブース(ジェトロ撮影)

ロシア・スタートアップのデモブース(ジェトロ撮影)

参加者数は9,000人と、過去の開催と比較して大きく変わらなかったものの、参加国数は32カ国で、新型コロナ禍前の2019年の85カ国と比較すると減少した。例年存在感が大きい欧米や韓国、シンガポールからの参加は極めて少数で、一部のベンチャーキャピタル(VC)関係者などが個人の資格で参加したにとどまったもようだ。会期中に行われたさまざまなセッションでも、対ロシア制裁に加担していない「友好国」(2022年3月9日記事参照)との協力深化を目指す声が多く聞かれた。

参加国の中で比較的大きな存在感を示したのは、インドだ。科学技術省科学産業調査評議会と13のスタートアップ・同支援機関からなる代表団を送りこんだほか、国別では唯一の国別セッション(オンライン)が組まれた。

BRICSやASEANとの協力強化の方向性も垣間見られた。スコルコボを運営するスコルコボ基金は、南アフリカ共和国技術イノベーション庁、デジタル・ピリピナス、ブラジルのアラグアイナ市との間で、協力の覚書を締結した。覚書の締結を通じ、人工知能(AI)やブロックチェーン、フィンテック、ECなどの分野で協力やロシアのスタートアップのそれら諸国への参入の促進を図る。このほか、中央アジア5カ国、イラン、アラブ首長国連邦(UAE)、カメルーンからスタートアップ企業が参加し、自社製品・技術を紹介していた。

テーマ別では、ドローンに関しての議論が幅広く行われた。ドローンはロシア国内でも地質調査や建設現場でのモニタリングなど民生部門を含めた活用が期待されているが、運用基準などが未整備だ。セッションに登壇したドローン開発企業フライ・ドローン創設者のニキータ・ダニロフ氏は、ドローン関連産業はまだ立ち上がったばかりなので、官民でのルール作りが必要と指摘した。

写真 ドローン・セッション専用ホール(ジェトロ撮影)

ドローン・セッション専用ホール(ジェトロ撮影)

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