ロシアCIS地域の主要スタートアップ支援イベント、イタリアと韓国が出展

(ロシア、イタリア、韓国)

モスクワ発

2019年06月11日

モスクワ郊外のイノベーション支援施設「スコルコボ・イノベーション・センター」において5月29~30日、ロシアCIS地域における主要なスタートアップ支援イベント「スタートアップ・ビレッジ」が開催された。

スタートアップ企業の出展ゾーン(ジェトロ撮影)

スタートアップ企業の出展ゾーン(ジェトロ撮影)

5月29日に開催された開会式では、今回のパートナー国のイタリアを代表してパスカーレ・テラッチアーノ駐ロシア・イタリア大使が登壇し、IT、バイオテクノロジー、スマートシティ、ファッションテック、新エネルギー分野のスタートアップ28社が出展したと述べた。今回、イタリア貿易促進機構(ITA)、ビツェンツァ商工会がスコルコボ財団とそれぞれ協力覚書を締結したことに触れ、「来年は今回を上回る規模で出展したい」と意欲を示した。イタリアは前回もパビリオンを出展した。

外国企業出展数で、イタリアの次に多かったのは韓国だ。韓国ブースの出展は3年連続。金属部品、化粧品、ロボット、医療機器、ITなどのスタートアップ企業など計18組織が出展した。出展担当者に話を聞いたところ、「本出展を含めロシアでのイノベーション関連事業は韓ロ政府間合意に基づくもの。今後も事業を拡大させていく」と意欲的だった。

韓国ゾーンの様子(ジェトロ撮影)

韓国ゾーンの様子(ジェトロ撮影)

開会式前に行われたセッションでは、人工知能(AI)、IoT(モノのインターネット)分野でロシアを代表する企業が取り組みを紹介した。AIソフトウエアを制作するコグニティブ・テクノロジーズが開発する車両向け自律型自動運転制御システムを使うと、99.56~99.7%、他車両や通行人の認知が可能だ。人間(運転手)が認知できる割合(92~94%)を上回る。外国企業とも取引があり、日本企業向けに電動スクーター(キックスケーター)に搭載するレーダーを開発した実績もあるという。製造業向けにIoTソリューションを提供するツィフラは、ベラルーシのトラック大手ベラズと協力し、同国の5G環境下で大型トラック自動運転の実証実験を行っている。

スタートアップ企業によるピッチコンテストも行われ、テック企業部門でミクロニードル・インダストリアル(医療用生体溶解性マイクロニードルの開発)、ユースキャン・ルス(ロシア語および英語のソーシャルメディアでの顧客分析ソリューション)、ブレイン・ビート(非侵襲型血糖値計の開発)が入賞した。

主催者によると、今回の来場者数は1万500人で、前年の1万5,000人より減少した。初日は好天で気温が30度近くになり、開会直後からにぎわいをみせたが、2日目午後に断続的に雨が降った。

スタートアップ・ビレッジは毎年開催され、今回が7回目。前回は日本がパートナー国だった(2018年6月11日記事参照)。

(浅元薫哉、エカテリーナ・セミョノワ)

(ロシア、イタリア、韓国)

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