第1四半期のGDP成長率、サービス業が前年同期比4.3%と好調

(メキシコ)

メキシコ発

2023年05月29日

メキシコの国立統計地理情報院(INEGI)は5月26日、2023年第1四半期(1~3月)の産業分野別実質GDP成長率PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表した。GDP全体では前年同期比3.7%、季節調整済み前期比1.02%で、4月末発表の速報値(2023年5月9日記事参照)から前年同期比、前期比とも0.1ポイント下方修正した。

前年同期比で成長率を産業別にみると(添付資料表1参照)、農牧・林業・水産は2.3%、鉱工業は2.5%、サービス業は4.3%と全てプラス、季節調整済み前期比(添付資料表2参照)では、鉱工業は0.59%、サービス業は1.47%のプラスを維持したが、農牧・林業・水産は2.76%のマイナス成長だった。GDPの6割以上を占めるサービス業の伸び率が目立ち、GDP(前年同期比)全体を2.73ポイント押し上げた。

サービス業の内訳をみると、卸売業が前年同期比3.5%、小売業が同6.8%と堅調、前期比でもそれぞれ0.38%、3.56%と上向いた。特に小売の伸びが際立つ。小売業だけでGDP全体を0.61ポイント押し上げている。運輸・倉庫業は堅調な内外需に支えられて前年同期比6.4%増と好調、前期比でも1.13%の伸びを見せている。ホテル・レストラン業も新型コロナウイルス感染の収束により観光業が活性化したこともあり、前年同期比10.7%増の2桁の伸び率を維持した。前期比でも3.94%増と、小売業と並ぶ高い伸びを見せた。労働法改正による人材派遣の原則禁止(2021年4月27日2021年8月2日記事参照)により、2021年第3四半期(7~9月)以降は不振を続けているビジネス支援サービスは、前年同期比10.2%減と、7四半期連続のマイナスを記録したが、前期比では4.80%増となり、ようやく底を打ったようだ。

鉱工業では、製造業が前年同期比2.7%増、前期比0.15%増とプラス成長を維持したが、以前ほどの勢いはない。製造業には輸出需要が大きな影響を与えるが、行き過ぎた通貨ペソ高(2023年5月22日記事参照)が悪影響を及ぼし始めている可能性も指摘される。製造業のうち輸送機器製造業は前年同期比8.9%と好調を維持し、半導体供給の問題が改善に向かい、生産台数が伸びている状況を反映した。鉱業は前年同期比1.7%増、前期比2.24%増、建設業もそれぞれ2.1%増、0.12%増とプラス成長を維持した。

民間部門の経済成長率見通し、上方修正が続く

比較的堅調な経済を受け、2023年初は慎重だった民間部門の実質GDP成長率見通しも引き上げられる方向にある。大手金融機関シティバナメックスが5月22日に発表した33の金融機関に対するアンケート調査結果PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、2023年の成長率見通しは平均1.9%となり、年初(1月5日)発表時点の0.9%から1ポイントも上昇している。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

ビジネス短信 90c25425549e14ca