第1四半期GDP成長率は前年同期比3.8%、前期比1.1%

(メキシコ)

メキシコ発

2023年05月09日

メキシコの国立統計地理情報院(INEGI)は4月28日、2023年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率(速報値)について、前年同期比3.8%、季節調整済み前期比1.1%と発表した。

主要産業別の成長率をみると、第一次産業(農牧林水産業)は季節調整済み前期比で3.2%のマイナス(前年同期比ではプラス3.1%)となったが、第二次産業(鉱工業)は前年同期比2.6%、前期比0.7%と堅調、第三次産業(サービス産業)も前年同期比4.3%、前期比1.5%と好調な伸びを見せた。

メキシコ中央銀行が5月2日に発表した、国内外37の民間シンクタンクを対象としたアンケートPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(4月19~27日実施)において、2023年第1四半期の実質GDP成長率見通し(前年同期比)は平均3.15%だったが、それを上回る数値となった。当地金融機関バンコバセの経済分析ディレクターのガブリエラ・シラー氏は「(生産拠点を消費地の近隣国に移転する)ニアショアリングが実質GDP成長率を拡大させる」とし、「メキシコ経済は年間で2%の成長を見込めるが、ニアショアリングがさらなる成長を加速させる可能性がある」と述べた(「レフォルマ」紙4月28日)。

政府は経済成長より財政規律を順守することを明言

GDP成長率が予想以上に伸びた一方で、米国の景気動向や国内の政治情勢を不安視する声もある。中銀のアンケートにおける経済成長の阻害要因として挙げられた上位3項目は、「治安の問題」(23%)、「法の支配の欠如」(10%)、「国内のインフレ圧力」(10%)だった。特に「治安の問題」と「法の支配の欠如」を含む「ガバナンス」の合計は全体の48%を占めており、メキシコにおける政治統制への懸念を表している。

アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール(AMLO)大統領は5月1日の早朝記者会見で、今のメキシコ経済は強く、財政も堅固だと強調しつつも、「2025年以降に世界で経済・金融危機が起こる可能性は否定しない」とし、「今年も来年も経済を守るために責任をもって財政を管理する。国の借金を増やすことはしない」と発言した(大統領府5月1日付記者会見録外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。財政収支や債務残高、為替相場の安定など、GDP成長率以外のマクロ指標を引き続き重視していく大統領の方針を示したかたちだ。

(阿部眞弘)

(メキシコ)

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