人材派遣の原則禁止に伴う移行期間を1カ月ほど延長

(メキシコ)

メキシコ発

2021年08月02日

メキシコ政府は7月31日、4月23日付官報で公布された、人材派遣を原則禁止する内容の連邦労働法および関連税法などの改正施行令(2021年4月27日記事参照)の付則1条、3条、4条、5条、6条、7条を変更する内容の改正施行令を連邦官報で公布した。同付則の改正は、前日に開催された臨時国会において上下両院で可決されたもので、4月23日付施行令に基づく経過措置を9月1日まで延長する内容。具体的には以下のとおりとなる。

  1. 連邦税務総則法、所得税法、付加価値税法の改正:2021年8月1日⇒9月1日
  2. 専門サービス・工事請負業者の労働社会保障省に対する登録:2021年8月24日⇒9月1日
  3. 派遣労働者の派遣先への受け入れに伴う雇用主登録の変更:2021年7月23日⇒9月1日
  4. 労災リスクのクラス変更や料率の決定:2021年7月23日⇒9月1日
  5. 社会保険法第15-A条に基づく専門サービス・工事請負業者の情報提出:2021年7月23日⇒9月1日

1カ月の延長では不十分との声も

国会における経過措置延長の採決において、国民行動党(PAN)や制度的革命党(PRI)などの野党議員は反対票を投じた。1カ月の延長では不十分で、政府機関における人材派遣禁止の適用開始と同様、民間部門でも2022年1月1日からの適用開始を要請したが、与党側は1カ月で十分として同要請を退けた。専門サービス・工事請負業者の労働社会保障省への登録(REPSE)において、専門サービス・工事とみなされる判断基準が不明瞭なために事業者側の要否判断が難しいこと(2021年5月25日記事参照)、登録のために必要な税務当局発行の証明書の取得手続きに遅延が見られるなどさまざまな要因が重なり、9月1日まで猶予期間が延びたとしても対応は難しい、と指摘する声も多い。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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