メルセデス・ベンツ、低炭素アルミニウム使用を拡大

(ドイツ、ノルウェー)

ミュンヘン発

2023年05月23日

ドイツのメルセデス・ベンツグループ傘下のメルセデス・ベンツは5月9日、早ければ2023年夏には低炭素アルミニウムを用いた鋳造部品を量産モデルに使用すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

メルセデス・ベンツは、2019年5月発表の計画「アンビション2039(Ambition2039)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」で、2039年までにバリューチェーン全体でカーボンニュートラル(炭素中立)を達成する目標を掲げている。同計画の一環として、2030年までに自動車生産に使用しているアルミニウムの二酸化炭素(CO2)排出量について、欧州平均に比べ最大9割削減することを目指している。具体的には、CO2排出量の少ない酸化アルミニウムの使用や、アルミニウム製錬で用いる電解炉に関して、再生可能エネルギー由来の電力で運転したり、新技術を活用したりすることで、CO2排出量を削減するとした。併せて、車両への再生材の使用割合を今後10年間で平均4割まで増やす目標を挙げている。

メルセデス・ベンツは2022年12月、ノルウェーのアルミニウム大手ノルスク・ハイドロとの意向表明書(LoI)を締結し、2023年から低炭素アルミニウムの試験供給を同社から受けるとした(2022年12月22日記事参照)。メルセデス・ベンツによると、ノルスク・ハイドロから受けているアルミニウムは、製品ライフサイクル全体でCO2排出量を欧州平均に比べ約7割削減したもの。また、ノルスク・ハイドロは試験供給で、再生材の使用割合が25%以上の低炭素アルミニウムを使用した。その結果、同アルミニウム1キログラム当たり製造時のCO2排出量を2.8キロまで削減できた。

両社は試験供給の成功を受けて、連携を強化する。ノルスク・ハイドロは今後、CO2排出量をさらに削減した低炭素アルミニウムをメルセデス・ベンツのシュツットガルト・メッティンゲン工場に供給する。メルセデス・ベンツは2023年夏から、低炭素アルミニウムを用いた鋳造部品を量産向け車両に使用する。同鋳造部品は同社の電気自動車(EV)「EQS」「EQE」などのモデルに最初に使用するほか、小型・中型車用のプラットフォーム「MMA(メルセデス・モジュラー・アーキテクチャー)」用の電動パワートレインの支持フレームなどに使用する予定。

ドイツ自動車大手フォルクスワーゲン(VW)傘下のポルシェも2023年4月、ノルスク・ハイドロから低炭素アルミニウムを調達することを明らかにしている(2023年5月2日記事参照)。また、ドイツ自動車大手BMWも2023年2月、英国・オーストラリア資源大手リオティントのカナダ工場から、低炭素アルミニウムを調達する覚書を締結するなど(2023年2月28日記事参照)、ドイツの自動車メーカーでは低炭素アルミニウムを調達する動きが相次いでいる。

(クラウディア・フェンデル)

(ドイツ、ノルウェー)

ビジネス短信 635717d35e6d04f1