ポルシェ、低炭素アルミニウムをノルスク・ハイドロから調達

(ドイツ、ノルウェー)

ミュンヘン発

2023年05月02日

ドイツ自動車大手フォルクスワーゲン(VW)傘下のポルシェは4月26日、ノルウェーのアルミニウム大手ノルスク・ハイドロと低炭素アルミニウムの供給などで意向表明書(LoI)に署名したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

ポルシェとポルシェのサプライヤーは、ノルスク・ハイドロから低炭素アルミニウムとアルミニウム加工品の供給を受ける。ポルシェは2025年までに、新プロジェクトで使用するアルミニウム1キログラム当たりの製造時の二酸化炭素(CO2)排出量を約3.5キログラムに削減することを目指す。現在、欧州で使用されるアルミニウムの製造時の平均CO2排出量は、これより6割多い状況にある。また、ポルシェとノルスク・ハイドロは2030年までに、ポルシェとポルシェのサプライヤーに供給するアルミニウムをカーボンニュートラル(炭素中立)にすることも目指す。

ポルシェは、2030年までにバリューチェーン全体での気候中立(CO2排出実質ゼロ)を目標に掲げる。車の製造原材料では、特にアルミニウム、鉄、プラスチックのCO2排出量が多いと言われる。ポルシェでも、車体軽量化などの観点からアルミニウムの使用量が増えており、例えば、ポルシェ初のバッテリー式電気自動車(BEV)モデル「タイカン(Taycan)」では、車体総重量の約3割がアルミニウムとなる。このため、調達するアルミニウムのCO2削減が不可避となっており、今回の意向表明書締結につながった。

メルセデス・ベンツも2022年12月、ノルスク・ハイドロと、持続可能なアルミニウムのサプライチェーンを構築するための意向表明書に署名した(2022年12月22日記事参照)。BMWも2023年2月、英国・オーストラリア資源大手リオティントのカナダ工場から、低炭素アルミニウムを調達する覚書を締結するなど(2023年2月28日記事参照)、ドイツの自動車メーカーが低炭素アルミニウムを調達する動きが相次いでいる。

加えて、今回の意向表明書では、欧州での蓄電池材料のサプライチェーンとリサイクルに関するコンセプトを両社で策定することも盛り込まれた。特に、ポルシェの電動車に搭載した蓄電池について、いかに効率的なクローズドループリサイクル(注)を打ち出せるかを調査する。ポルシェは2030年までに新車の8割以上をBEVにする目標を掲げており、蓄電池リサイクルの必要性も今後さらに高まるとみられる。両社は2025年に最初の成果を発表する方向で進める。

(注)不純物を取り除くことで、素材として再利用でき、無限に循環利用されるリサイクル。

(高塚一)

(ドイツ、ノルウェー)

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