米税関、マレーシア企業の使い捨て用手袋の輸入再開、強制労働の是正確認

(米国、マレーシア)

ニューヨーク発

2023年04月28日

米国税関・国境警備局(CBP)は4月26日、マレーシアのゴム手袋メーカーのスマート・グローブが生産した、使い捨て用手袋の輸入を差し止める違反商品保留命令(WRO)を撤回したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。これにより、同社の使い捨て用手袋は同日以降、米国への輸入が再び認められるようになった。

CBPは1930年関税法307条に基づき、WROを発令する権限を持つ。同条は強制労働を使用して生産された製品の輸入を禁じている(注)。CBPは2021年11月、スマート・グローブが製造現場で強制労働に依拠して生産を行ったとの情報に基づき、同社がマレーシアで生産した使い捨て用手袋に対するWROを発表していた(2021年11月9日記事参照)。CBPの発表によると、WROの発令以降、同社は人材派遣費の返済や労働者の生活環境の改善などに取り組んだという。これらの是正措置の結果、CBPは同社がWROで指摘された強制労働指標に対処したと判断し、WROの撤回を決定した。

CBPが関税法307条に基づくWROや強制労働の認定を撤回するのは、2023年に入って3件目で、いずれもマレーシア企業を対象としている。2月にはYTYグループが生産した使い捨て用手袋に対するWROを撤回した(2023年2月10日記事参照)。CBPを所管する国土安全保障省(DHS)のアレハンドロ・マヨルカス長官は、プレスリリースで「強制労働を使用して生産された物品が、米国に入るのを防ぐためのDHSの絶え間ない執行の取り組みは、企業の行動を変え、サプライチェーンから強制労働を排除することにつながっている」と、WRO撤回の意義を強調した。

CBPは2021年以降、マレーシア企業の使い捨て用手袋に対するWROを4件発表している。そのうち、スーパーマックス(2021年10月22日記事参照)とブライトウェイ(2021年12月21日記事参照)を対象とするWROは、今も有効となっている。

(注)関税法307条で、強制労働は「ある者が不履行に対する罰則の脅威の下で強要され、かつその労働者が自発的に提供しない一切の仕事またはサービス」と定義されている。米国の人権関連法・規制や、サプライチェーンに関わる規制の運用、実務上の対応などについては、2021年6月25日付地域・分析レポート、調査レポート「グローバル・バリューチェーン上の人権侵害に関連する米国規制と人権デューディリジェンスによる実務的対応」「米国の経済安全保障に関する措置への実務的対応」を参照。

(甲斐野裕之)

(米国、マレーシア)

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