米税関、マレーシア産手袋の輸入差し止めを発表、2021年で3例目

米国税関国境保護局（CBP）は12月20日、強制労働があったとして、マレーシア産の使い捨て用手袋の一部に対する輸入差し止め措置を発表した。同国産の手袋に対する差し止め命令は2021年だけで3例目となる。

強制労働が摘発されたのは、マレーシアに所在するブライトウェイおよび関連子会社で、ILO指標の全11項目のうち10項目に抵触したとされる。同社については、マレーシア政府当局が2020年12月に工場や労働者が生活するコンテナに強制捜査を行い、その1カ月後にCBPが調査に着手していた（ロイター12月20日）。

CBPは、1930年関税法307条に基づき、強制労働に依拠した製品の輸入を差し止める違反商品保留命令（WRO）を発令する権限を有する（注1）。ブライトウェイに対するWROは発表日から有効となる。マレーシアは2019年9月以降、7件のWRO（注2）を受けている。マレーシア政府は2021年11月、強制労働の根絶に向けた行動計画を策定した（2021年12月2日記事参照）。

CBPのアンマリー・ハイスミス局長補は「CBPは、産業界のパートナーがサプライチェーン上の強制労働を特定・排除する取り組みを称賛するとともに、全ての輸入者に同じ対応を促していく」とコメントしている。CBPは、強制労働に関する特設ページを設け、法令順守に向けた情報提供を行っている。

（注1）米国における人権関連法・規制や、サプライチェーンに関わる規制の運用、実務上の対応などについては、2021年6月25日付地域・分析レポート参照。

（注2）7件のうち、2件は労働環境の改善などが確認されたとして、WROが撤回されている（2021年9月17日記事参照）。

（藪恭兵）