世界銀行がアフリカの2023年経済見通し発表、GDP成長率を3.1%に下方修正

(アフリカ)

中東アフリカ課

2023年04月14日

世界銀行は4月5日、サブサハラ・アフリカ(SSA)地域の経済見通しに係る報告書「アフリカの鼓動外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表し、2023年の同地域の経済成長率を2022年10月の予測(2022年10月12日記事参照)から0.4ポイント下方修正して、3.1%と予測した。下方修正の理由として、ウクライナ情勢など世界経済の不確実性、それに伴うインフレや金融引き締めを挙げている。2024年と2025年については、それぞれ3.7%、3.9%と予測している。

世界銀行は非資源国の成長率を4.2%、資源国の成長率を2.4%と見込む。主要国をみると、南アフリカ共和国は電力不足(2023年1月30日記事参照)などの影響もあり、0.5%の低成長が見込まれる。ナイジェリアはサービス、建設、製造、農業などの非資源分野が成長を牽引するものの、石油生産が不安定で、2.8%の成長にとどまるとされる。石油部門への依存度が高いアンゴラも、石油生産量がOPECプラスの割当量を下回っているほか、原油価格の下落(2023年4月5日記事参照)などの影響で、2.6%の成長にとどまる見込みだ。一方、ケニアは農業、鉱業、サービス業などが成長を牽引し、5.0%の成長が見込まれるほか、エチオピアは政府とティグライ人民解放戦線(TPLF)間で停戦合意に至った(2022年11月8日記事参照)こともあり、6.0%の高い成長率が見込まれる。

インフレ率については、2023年の中央値が2022年の9.2%から7.9%に低下するほか、2桁台の国も、2022年の21カ国から12カ国に減少することが見込まれるものの、依然として各国中央銀行が設定する上限を上回るとされる。特に、各国の食料価格の上昇率は2023年1月現在、約4分の3の国で2桁台を超えている。

世界銀行は、ウクライナ情勢の長期化によってインフレが高止まりし、SSAの債務問題を悪化させるとしている。SSAの公的債務は、新型コロナウイルス感染拡大以降に急増しており、2022年末時点のSSA全体の債務残高は2010年の3,540億ドルから約3倍となる約1兆1,400億ドルで、同年の対GDP比に占める債務割合の中央値は57%とされる。近年、SSA諸国はユーロ債や中国の融資への依存を強めており、公共と公的保証(PPG)債務(注)の割合は2010年の18%から2021年には27%へ増加しているが、そのうち約11%が中国の債権者に負うものだという。

(注)Public and Publicly Guaranteed(PPG)債務。政府や公的機関によって返済が保証された債務。

(梶原大夢)

(アフリカ)

ビジネス短信 0b690dbb378a7468