世界銀行がアフリカの2022年経済見通し発表、GDP成長率を3.3%に下方修正

(アフリカ、ナイジェリア、南アフリカ共和国、アンゴラ)

中東アフリカ課

2022年10月12日

世界銀行は10月4日、サブサハラ・アフリカ(SSA)地域の経済見通しに係る報告書「アフリカの鼓動外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表した。同行は2022年の同地域の経済成長率を、4月の前回発表(2022年4月26日記事参照)から0.3ポイント下方修正し3.3%とした。2023年と2024年の成長率については、それぞれ3.5%、3.9%と予測している。

世界銀行は、SSA地域では新型コロナウイルス感染拡大の影響から回復し、社会・経済活動が再開しているとしつつも、ウクライナ情勢の長期化が今後の見通しに対する下振れリスクになり得るとし、インフレに伴う金融引き締めがさらなる財政圧迫につながると指摘する。また、主要貿易相手国である中国をはじめとする世界経済の低迷に伴う、輸出産品需要の減少も成長を阻害する要因となるほか、内部要因として、治安悪化や天候不順も下振れリスクになるとしている。

主要国の成長率をみると、ナイジェリアは、民間消費や投資が増加した一方、石油生産に制約があり、輸入石油製品への依存度が高いため、油価高騰の恩恵を受けられず、3.3%と前回予測から0.5%の下方修正となった。南アフリカ共和国では、サービス部門が経済を下支えした一方、農業や工業部門が縮小した。また、相次ぐ停電やクワズル・ナタール州での大規模な洪水(2022年4月15日記事参照)が足かせとなり、前回予測から0.2%の下方修正となる1.9%となった。これに対してアンゴラは、石油、農業、サービス部門の好調に加え、民間消費、政府支出、経常収支の黒字増加などもあり、前回から0.2%上方修正され、3.1%の予測となった。

SSAの公的債務は、新型コロナウイルスの感染拡大により急増しており、2022年はGDP比59.5%と予測される。特にスーダン、ガーナ、モザンビークはそれぞれ、183.8%、104%、102.6%と3桁に達している。もっとも、モザンビークに関しては、IMFが財政支援の再開を承認しており(2022年5月20日記事参照)、このことが債務の削減につながるとしている。

インフレ率については、ウクライナ情勢による食料・燃料価格の高騰で33カ国中17カ国が2桁となっており、中央値は2021年の4.6%から8%に上昇するとされる。主要国をみると、エチオピアが33.7%、アンゴラが25.8%、ナイジェリアが18.5%と高くなっている一方、南アは6.8%にとどまると見込まれる。

(梶原大夢)

(アフリカ、ナイジェリア、南アフリカ共和国、アンゴラ)

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