米ベーカー・ヒューズ、HIFグローバルと直接大気分離回収技術で提携

(米国、チリ)

ヒューストン発

2023年03月08日

米国石油サービス大手ベーカー・ヒューズ(本社:テキサス州ヒューストン)は3月7日、カーボンリサイクル燃料(e-fuel)を開発・製造するチリのHIFグローバルと二酸化炭素(CO2)の直接大気分離回収(DAC)技術の開発で提携すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。両社は、DACを商業規模で展開することを狙いとしている。

2022年4月にベーカー・ヒューズが買収した米国モザイク・マテリアルズは、金属有機構造体(MOF)技術(注)を用いた、CO2を選択的に回収可能な独自の吸着材を開発している。同社のMOF技術は、潜水艦や宇宙ミッションなどの閉鎖空間で空気の質を改善する技術として、米国海軍やNASA(米航空宇宙局)にも採用される見込み。ベーカー・ヒューズは、自社で保有するモジュール設計や材料科学などの既存技術と、モザイクの技術を組み合わせ、省エネで高効率なDACシステムを構築する計画だ(2022年4月22日記事参照)。

ベーカー・ヒューズのロレンツォ・シモネッリ会長兼最高経営責任者(CEO)は「この画期的な提携は、さまざまなCO2回収・利用・貯留(CCUS)技術を含むベーカー・ヒューズの気候技術ソリューションに対する拡張されたポートフォリオの強さをさらに示すものであり、脱炭素化に向けた当社の戦略とコミットメントを検証するものだ」と述べた。

ベーカー・ヒューズは脱炭素化に向けて取り組みを進めており、2022年12月に、オーストラリアのエネルギー大手ウッドサイド・エナジーと脱炭素化に資するウッドサイドの気候変動戦略支援に向けた潜在的な事業を検討する覚書を締結したほか(2022年12月12日記事参照)、廃坑の地熱利用に向けた技術コンソーシアムの設立(2022年12月12日記事参照)を発表した。2023年1月には、オーストラリアのフォーテスキューとグリーン水素・地熱プロジェクトで提携したと発表している(2023年1月31日記事参照)。

(注)金属有機構造体(MOF)は、液体や気体から物質を除去、分離する際に用いられる多孔質材料で、複雑な構造設計が可能なことから、従来の多孔質材料と比較して吸着性に優れるなどの特性を有する。

(沖本憲司)

(米国、チリ)

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