インドと米国、2国間商業対話の再始動を共同で宣言

(インド、米国)

ニューデリー発

2023年03月22日

インドのピユシュ・ゴヤル商工相は310日、同国訪問中の米国商務省のジーナ・レモンド商務長官と会談を行い、両国間の商業対話の再始動を共同で宣言した。宣言では、相互協力が可能な分野として、半導体、グリーンエネルギー、ICT(情報通信技術)、中小企業支援、基準認証などを具体的に挙げた。

また同日、両者は「半導体サプライチェーンとイノベーションパートナーシップ」と題する覚書(MOU)にも署名(2023年3月14日記事参照)。半導体サプライチェーンの強化に当たり、両国間でR&D(研究開発)や人材育成、技術開発などの分野で相互協力を行うとした。

インド政府はスローガン「メーク・イン・インディア」を掲げて製造業の振興を図っているが、安定した電力供給や大量の水確保が最低要件となる半導体は輸入に依存している。しかし、2021年半ばの世界的な半導体不足によって国内製造業にも大きな影響が及んだことを機に、政府は202112月、半導体を含む電子産業の誘致・育成を図る包括的な政策プログラムを発表(2021年12月22日記事参照)。西部グジャラート州など一部の州も半導体産業に特化した独自のインセンティブを用意する(2022年10月12日地域・分析レポート参照)など、積極的な誘致活動を行っている。20229月には投資第1号として、台湾系フォックスコンによる進出発表が注目を集めた(2022年9月21日記事参照)。

インドと米国は2020年以降、「包括的グローバル戦略パートナーシップ」の下で友好関係にある。20219月にはモディ首相とバイデン大統領が、両国が責任ある立場でアジア大洋州地域に貢献することをうたった共同首脳宣言を発出した。インドは米国が主導するインド太平洋経済枠組み(IPEF)にも参画しているが、その一方で、協議対象の4本柱のうち「貿易」に関しては交渉への参加を見送った(2022年9月15日記事参照)ほか、ロシア・ウクライナ情勢では中立の立場を取るなど、独自の方針を貫いている。

(ミナクシ・ベルワル、広木拓)

(インド、米国)

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