グジャラート州にインド初の半導体製造工場、台湾・鴻海などのJVと覚書

(インド、台湾、英国)

アーメダバード発

2022年09月21日

インドのグジャラート(GJ)州政府は9月13日、英国系鉱業・天然資源大手ベダンタ・グループと台湾系の電子機器受託生産(EMS)世界最大手の鴻海(ホンハイ)精密工業傘下のフォックスコンとの合弁会社(JV)と、覚書を調印した。同州アーメダバード地域に半導体製造、ディスプレー製造、半導体組み立て・検査などの工場を設置する予定。今回の投資案件はインド初の半導体製造分野での大型投資案件となる。

調印式にはアシュウィニ・バイシャナウ電子・情報技術相、ブペンドラ・パテル州首相らが出席した。ベダンタはプレスリリースを通じ、今回の投資案件はモディ首相が掲げる「カギとなる未来技術で自立したインドを実現する」という大胆なビジョン(2020年5月14日記事参照)に沿うもので、「半導体とディスプレーの国内製造という最重要課題で、インドが自給自足するための大きな一歩だ」としている。

同合弁会社の株式比率はベダンタ60%、フォックスコン40%。今後2年以内にGJ州内に半導体製造工場を立ち上げる計画だ。同工場では回路線幅が28ナノメートルの製品を生産する。また、ディスプレー製造工場では小型、中型、大型の製品向けに、第8世代向けディスプレーを生産する。新規投資額は1兆5,400億ルピー(約2兆7,720億円、1ルピー=約1.8円)で、新たに10万人の雇用を生み出すことが期待されている。同案件は、2022年2月にインド電子・情報技術省が募集する総額7,600億ルピーの「電子産業(半導体、ディスプレー)誘致・育成を図る包括的な政策プログラム」(2021年12月22日記事参照)に申請されていた案件のうちの1つ(2022年3月2日記事参照)。

同社は「このプロジェクトにより、高度に洗練された装置企業、高純度ガス、化学薬品、ウエハー、フォトマスクなどの素材系企業、装置関連サービスプロバイダーなど、半導体産業バリューチェーン・エコシステムに広く関連するさまざまな企業群を引き付け、GJ州を世界の半導体ハブの1つとして位置づけることになるだろう」としている。

フォックスコン半導体グループのブリアン・ホー副社長は「モディ首相のお膝元であるGJ州は工業発展、グリーンエネルギー、スマートシティーなどで知られ、高品質のインフラ、州政府の積極的で強力な支援が投資に際しての信頼性を高めている」として、州の投資環境や州政府の姿勢を評価した。

GJ州政府は7月27日に独自の「半導体政策2022‐27」を発表している。同政策では「ドレラ特別投資地域」を中心とする州内に半導体製造拠点を誘致する方針を明らかにし、中央政府が打ち出してきた誘致政策を州レベルでも補完・後押しすることで「半導体ハブ」となる意向を鮮明にしている(2022年9月5日付地域・分析レポート参照)。今回のフォックスコンの進出決定により、GJ州への半導体産業の集積に道が開けることが期待される。

(古川毅彦)

(インド、台湾、英国)

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