フォルクスワーゲン、カナダでのEV用電池生産工場建設を発表

(カナダ、ドイツ)

トロント発

2023年03月17日

ドイツ自動車生産大手のフォルクスワーゲン・グループ(VW、本社:ドイツ・ボルフスブルク)と同社傘下のバッテリー企業パワーコは3月13日、カナダ・オンタリオ州のセント・トーマスに、同グループ初の海外ギガファクトリーの電気自動車(EV)用電池生産工場を新設すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。2027年の稼働を目指す。VWは記者会見で「電池の生産立ち上げを欧州からカナダへ拡大するという決定は、当社の北米における野心的な成長戦略のさらなる証しだ」と説明した。

VWはカナダ政府と2022年8月、EVとバッテリー生産の協力関係強化で覚書を交わし(2022年8月24日記事参照)、同年12月にはカナダにおける電池工場の最適地選定のため覚書の追補に署名外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしていた。VWのオリバー・ブルーム最高経営責任者(CEO)は工場新設について「北米戦略は、前年策定した『10カ年計画』の中で重要なプライオリティーを占めている。カナダでの電池生産と(米国)サウスカロライナでのスカウトの工場新設決定により、北米戦略の実行を早めることができる」とコメントした。サウスカロライナ州政府は3月3日、VW傘下の米国スカウト・モーターズによる同州コロンビア近郊でのEV工場設立を発表している(2023年3月14日記事参照)。

発表を受け、カナダ政府のフランソワ・フィリップ・シャンパーニュ・イノベーション・科学・産業相は「VWによる発表は、カナダの高度に熟練した労働力と、強力かつ成長するバッテリーエコシステムを如実に示すものだ。VWが海外初のギガファクトリーをカナダに設立するという決定は、大規模な投資を誘致する際のカナダの競争力を物語るもので、世界に選ばれるグリーンサプライヤーとしてのカナダへの信任投票でもある」とコメントした。

なお同日、カナダ政府外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますオンタリオ州政府は投資を歓迎する声明を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしたが、投資インセンティブについては交渉中として詳細を明らかにしていない。報道機関の質問に対して、シャンパーニュ大臣は「いつか(in due course)」明らかにすると述べるにとどまっている(CBCニュース3月13日)。他方、VWは「カナダは、原材料の現地供給やクリーンな電力への広いアクセスなど、理想的な条件を備えている。ギガファクトリー・セント・トーマスの詳細については、近日中に明らかにする予定だ」と説明した。

カナダでは昨今、ホンダ(2022年3月17日記事参照)、ゼネラルモーターズ(2022年4月6日記事参照)、ステランティス(2022年5月10日記事参照)、EV電池用正極材などを製造するユミコア(2022年7月22日記事参照)などがEVや関連製品生産に向けた投資を相次いで発表している。

(飯田洋子)

(カナダ、ドイツ)

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