高止まりが続くインフレ率(CPI)、2月は8.78%を記録

(バングラデシュ)

ダッカ発

2023年03月27日

バングラデシュ統計局(BBS)は、2月の消費者物価指数(CPI)上昇率を8.78%(前年の同月より2.61ポイント上昇)と発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。

同国では2022年6月以降、インフレ率の高止まりが続いている。2013/2014年度(2013年7月~2014年6月、同7.4%)以降、最も高い上昇率となる8.91%を記録した10月(2022年11月29日記事参照)以降、11月(2022年12月27日記事参照)から2023年2月にかけて、国・産業全体で9%近いインフレ率となる状況が続いている。今回の発表によると、食品セクターのインフレ率が若干上昇に転じ、特に都市部では前月比で0.5ポイントの上昇がみられたことで、前月発表の8.57%から国・産業全体のCPI上昇率はわずかに上昇した。

商務省(MoC)傘下のバングラデシュ貿易公社(TCB)の発表によると、鶏肉(ブロイラー)の市場価格(3月20日現在)は240~260タカ(約300~322円、1タカ=約1.24円)と、前月(2月20日時点)から13.6%上昇(前年比51.5%上昇)した。同様に砂糖も115~120タカで前月から2.2%上昇(前年比48.7%上昇)と、食生活に欠かせない食材の一部に価格上昇の傾向が強くみられる(添付資料表参照)。バングラデシュでは、3月23日ごろから4月20日ごろまで断食(ラマダン)月となる。イフタル(その日の断食明けに取る初めての食事)に欠かせない食材の1つのデーツの価格(前年比20%上昇)などは、輸入時の信用状(L/C)決済が困難な状況(2023年1月23日記事参照)も影響し、さらなる価格上昇の懸念が報じられている(「フィナンシャル・エキスプレス」紙3月19日)。

非食品セクターのインフレ率も高止まりの状況で、国全体で9.82%、農村部では9.98%と、10%近くで推移している。例えば、電気代やガス価格の値上げ(2023年2月28日記事参照)は企業の生産コストに直結しており、進出日系企業にとっても大きな懸案となっている。

また、現地報道によると、統計局はインフレ率算出の対象(422品目)について、昨今変化の激しい国民の消費行動を正確に反映したものとするため、利用が急速に拡大しているモバイル・ファイナンス・サービス(MFS)など含んで、対象品目の追加(約700品目)の検討を進めているとされ、翌年度の算出から適用すると見込まれている(「フィナンシャル・エキスプレス」紙3月20日)。インフレ率は進出日系企業の給与改定の参考指標でもあり、引き続き注目が集まる。

(山田和則)

(バングラデシュ)

ビジネス短信 8ba7876b164a5e16