中銀が輸入決済に係る規制緩和を延長、銀行内の資金流動性を確保

(バングラデシュ)

ダッカ発

2023年01月23日

バングラデシュ中央銀行は1月4日、オフショアバンキングオペレーション(以下OB、注)および輸入決済に係る規制緩和について、2023年6月30日まで延長すると発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。

中銀は2022年7月、固定資本財(キャピタルマシナリー)や産業用原材料の輸入取引、および政府による輸入取引を円滑に行うため、各市中銀行が規制で定められた資本金の25%相当額を上限に6カ月間に限り、当該銀行のOB向け資金を国内バンキングユニット(以下、DBU)に保有することを可能とする旨の規制緩和PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を、2022年12月31日までの時限措置として行っていた。

各市中銀行内におけるOBとDBUの間の資金融通については、OBに係る規制が制定された2019年2月以降、同資本金の20%相当額を上限に、DBUからOBに充当することが可能とされているが、今般の措置の目的は、DBUによる対外的な決済取引(輸入決済など)の円滑化とされている。バングラデシュは、IMFによる融資(2022年11月28日記事参照)をはじめ、外貨準備高の状況が国内外から注目され、外貨流出防止を目的とした輸入抑制措置(2022年12月21日7月19日記事参照)を講じている。こうした中、当地における輸入決済の基本形式である信用状(L/C)決済は、日系企業に限らず地場企業にとっても困難なケースが多いため、今般の措置は、各銀行内の資金流動性を確保することによる、外貨繰りの方策の1つとみられる。政府は輸入の抑制と同時に、必要な取引の決済を確実に行うための、難しいかじ取りを迫られている。

(注)国内において商取引上、外国とみなされる輸出加工区(EPZ)、経済特区(EZ、2022年12月9日記事参照)、ハイテクパーク(2022年6月16日記事参照)の入居企業や、海外に滞在する非居住者のバングラデシュ人などを主な対象とした、外貨による銀行取引の制度の1つ。

(山田和則)

(バングラデシュ)

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