BMWなど、自動車産業の循環型経済を目指すコンソーシアム発足

(ドイツ)

ミュンヘン発

2023年02月15日

ドイツ自動車大手のBMWは1月26日、18社・団体が協力し、自動車産業で持続可能な素材を活用するためのパイロットプロジェクトを実施するコンソーシアムが発足したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

プロジェクトの名称は「未来志向のサステナブルな自動車素材〔Future Sustainable Car Materials(FSCM)〕」。目的は、自動車生産バリューチェーン内で金属やプラスチックなどの素材を再利用する仕組みを強化し、素材の再利用やバイオ由来素材使用の割合を高め、バリューチェーン内の二酸化炭素(CO2)排出量削減を進めること。プロジェクトでは特に、自動車生産でのCO2総排出量の中で大きな割合を占める鉄鋼とアルミニウムに重点を置く。また、連邦経済・気候保護省が3年間にわたりプロジェクトを助成する。同プロジェクトでは、自動車産業のサプライチェーン間のデータ共有などのため、ドイツで2021年に始まったプロジェクト「カテナ-X(Catena-X)」(2021年5月11日記事参照)も活用していく。

BMWがプロジェクト幹事となり、18社・企業・団体が参画する。民間企業ではBMWに加え、スペシャルティケミカルのエボニック、鉄鋼のティッセンクルップ、自動車部品のドレクスルマイヤーなどが参加、大学・研究機関からはミュンヘン工科大学やフラウンホーファー研究所などが加わる。東レの欧州拠点も参画する。エボニックは2月14日、同プロジェクトについて日本語版プレス発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを行い、同社は特にプラスチックやリサイクル用添加剤の分野で、プロジェクトに協力するとしている。

BMWやメルセデス・ベンツなど自動車メーカーはサステナブルな素材や部品の製造、使用に向けた取り組みを進めている(2022年9月20日記事参照)。また、自動車生産用の鉄鋼やアルミニウムを再利用する動きもある(2022年2月14日記事3月25日記事、12月22日記事参照)。BMWなどによると、材料を繰り返しリサイクルしながら使用し続ける場合、製品の品質と安全性のレベルの確保が課題となっており、今回のプロジェクトを通じ、さまざまな専門性を持つ企業・研究機関が共同で解決策を探るという。一企業では成し得ない新しい解決策が生まれるかに注目が集まる。

(高塚一)

(ドイツ)

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