カナダ政府、台湾と外国投資促進保護協定(FIPA)締結に向けた正式交渉開始で合意

(カナダ、台湾、中国)

米州課

2023年02月15日

カナダのメアリー・エング国際貿易・輸出促進・中小企業・経済開発相は27日、オタワで台湾の鄧振中行政院政務委員とオンライン形式で会談し、外国投資促進保護協定(FIPAの正式な交渉開始で合意したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。エング国際貿易相は会談の中で、カナダがインド太平洋戦略の一環として同地域における経済関係の深化に努めていることから、台湾は重要な貿易および投資パートナーだと強調した。

FIPAについては、蔡英文台湾総統が202210月に、台湾を訪問したカナダ連邦議会議員らと会談した際に、良好な投資環境の創出や経済・貿易関係の強化が期待されることから、前向きな進展を心から期待している、と述べていた(2022年10月14日記事参照)。その後、エング大臣と鄧政務委員の2022110日の電話会談を機に、予備的協議の開始が合意された。

正式な交渉開始により、カナダと台湾の一層の経済・貿易関係の発展が見込まれるが、他方で、中国の反発を招き、中国とカナダの関係を懸念する報道もある(2023年ロイター27日)。カナダ政府は、202111月末に打ち出した新たなインド太平洋戦略外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますにおいて、世界の中での中国は破壊的な(disruptive)グローバルパワーになっているとし、カナダの国家安全保障上の利益やインド太平洋地域のパートナーの利益を損なう場合は、中国に挑戦するとしている。カナダ国内においては、重要鉱物サプライチェーン、知的財産保護、サイバーセキュリティーシステムの強化といった分野で国益が損なわれる場合に、断固たる行動をとるとしている。また202210月には、電気通信ネットワーク分野のサプライチェーン保護における中国に依存しない動きに関して、米国などに追随する意向を表明している(2022年10月28日記事参照)。

そのほか、カナダ政府は202210月に、重要鉱物セクターを外国資本から保護するための規定を強化したガイドラインを発表し(2022年11月1日記事参照)、11月に中国企業3社に対して、カナダの重要鉱物企業からの投資引き揚げを命じている。これには、中国政府機関が相次いで反発していた(2022年11月11日記事参照)。

(高山さわ)

(カナダ、台湾、中国)

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