カナダ連邦議会議員が台湾の蔡英文総統と会談、CPTPP加盟を支持

(カナダ、台湾)

米州課

2022年10月14日

カナダ・台湾友好議員連盟の委員長で、国際貿易委員会の委員長であるジュディ・スグロ連邦下院議員(自由党、オンタリオ州)を団長とする超党派の議員団一行5人(注)が10月11日、訪問先の台湾で蔡英文総統と会談を行い、台湾による環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)加入申請への支持を表明した。

議員団一行は、台湾の双十節式典(2022年10月12日記事参照)出席のため、9日から台湾を訪問している。

同会談に関する台湾総統府のニュースリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、蔡総統は、台湾とカナダは重要な国際貿易パートナーだとして、経済協力の一層の拡大への期待を表明したほか、カナダによる台湾支援への謝意と太平洋地域の平和と安定を守るためのあらゆる分野での協力関係の強化への期待を表明し、特に、10月13日からの台湾の入境規制緩和(2022年9月29日記事参照)により、国際交流の再開が容易になると述べた。

また、蔡総統は、2022年1月に予備的協議の開始を発表した、外国投資促進保護協定(FIPA)への署名に向けた動き外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますについて、良好な投資環境の創出や経済・貿易関係の強化が期待されることから、前向きな進展を心から期待していると述べた。CPTPPへ正式に加入申請を提出したことについても触れ、加盟実現に向けたカナダの支援を期待すると述べた。カナダによる台湾への支援については、2022年8月にカナダの外相、国防相、国際貿易相が中国の軍事演習への懸念を表明し、その直後の9月にカナダの海軍艦艇が台湾海峡で航行の自由作戦を実施したことは、地域の平和と安定を維持するのに役立ったと述べた。さらに、「カナダ政府はまた、世界の舞台で台湾のために発言し、台湾の国際的な参加を支持している」として謝意を表した。

蔡総統の発言を受け、スグロ議員は、双十節式典への賛辞を述べるとともに、新型コロナウイルス対策やウクライナ支援に関する台湾当局の対応を称賛した。また、カナダの連邦議会議員のほとんどが台湾のCPTPPへの加入が早晩実現することを望んでいるとし、重要性の高いFIPAの問題については、カナダのメアリー・エング国際貿易・輸出促進・中小企業・経済開発相が2022年に入り台湾のジョン・デン(鄧振中)行政院政務委員と予備的協議を行ったことは喜ばしく、自身の知る限り順調に協議が進められていると述べた。

CPTPPについては、2021年9月に中国が加入申請した直後に台湾も加入申請したが、カナダ政府はこれに対し「新規加入の決定は、あくまで加盟国による協議次第だ」として、両国・地域への支持の発表は見送っていた(2021年9月28日記事参照)。鄧振中行政院政務委員は2022年6月時点でのインタビューで、CTPPP加盟国は先に加盟申請を行った英国(2021年1月)の申請の処理中で、完了は2022年後半か2023年となる可能性があり、台湾はそれまで待たねばならないとの見方を示している(僑務委員会10月12日)。

(注)スグロ下院議員、アンジェロ・イアコノ下院議員(自由党、ケベック州)、シーモン・ピエール・サバ―・トランブリー下院議員(ブロック・ケベコア、ケベック州)、リチャード・マーテル下院議員(保守党、ケベック州)、クリス・ルイス下院議員(保守党、オンタリオ州)の5人

(高山さわ)

(カナダ、台湾)

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