カナダのシャンパーニュ・イノベーション相が訪米、重要鉱物資源をアピール

(カナダ、米国)

米州課

2022年10月28日

カナダのフランソワフィリップ・シャンパーニュ・イノベーション・科学・産業相は10月21日、米国のジーナ・レモンド商務長官と首都ワシントンで会談し、共同声明を発表した(カナダ:イノベーション・科学経済開発省発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、米国:商務省発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

両者は、米国で8月に成立した「CHIPSおよび科学法(CHIPSプラス法)」(2022年8月10日記事参照)が北米の半導体産業に与える影響について議論し、同法の重要性と、米国の製造業の活性化と半導体の研究開発の促進に役立つ重要な投資について意見を交わした。また、米国史上最大の気候関連対策費を含む「インフレ削減法(IRA)」(2022年10月6日付地域・分析レポート参照)の影響についても議論した。シャンパーニュ大臣は今回、米国でグリーンエネルギーやその他のハイテクプロジェクトに多額の資金を提供する法案が複数可決された後に訪米していることから、重要鉱物を対象とした米国連邦資金へのアクセスを求め、カナダのプロジェクトの売り込みを行うことも訪米の重要な目的だったとみられている(CBCニュース10月21日)。

また、両者はサプライチェーンの安全性や強靭(きょうじん)性に関する協力、持続可能かつ包摂的な経済回復におけるイノベーション、国際フォーラムを通じた協力など、2021年11月の会談外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます時に発表した両国のパートナーシップ再構築に関する作業計画を基に、共通の商業・経済利益を強化・成長させ、協力を推進する方法についても協議した。

共同声明はそのほか、経済安全保障の強化や重要鉱物のサプライチェーンに依存する戦略的な産業部門の強化のため、カナダと米国の重要鉱物行動計画の下で協力を強化することや、情報通信技術(ICT)に関連するサプライチェーンを保護するためのベストプラクティスを共有してゆくこと、人工知能(AI)開発の協力を進めるカナダ規格評議会(SCC)と米国国立標準技術研究所(NIST)が規格、適合性評価、認定での提携に関する覚書に署名したことなどについても触れている。

電気通信ネットワーク分野のサプライチェーン保護に関しては、カナダが5月にリスクの高いサプライヤーを第5世代移動通信システム(5G)ネットワークから制限する意向を表明したことに触れ、「カナダは、電気通信サプライヤーの多様性に関するプラハ提言(注1)を支持する米国や、ほかの志を同じくする諸国の政府に加わった」として、米国などに追随する意向を明確に表明した。これに関連して、カナダ現地報道によると、シャンパーニュ大臣は今回のワシントン滞在中に「カナダが望んでいるのは中国からのデカップリングだ」「人は真に同じ価値観を共有できる者と取引をしたがるものだ」とも述べたという。10月11日には、クリスティア・フリーランド副首相兼財務相がワシントン訪問中に出席したイベントで、同盟国や友好国に限定した限定的なサプライチェーンを構築する「フレンドショアリング」(注2)の重要性に言及している(CBCニュース10月21日)。

他方で、カナダが導入を進めようとしているデジタルサービス税について、米商工会議所幹部はシャンパーニュ大臣に対し、米国のウェブサイトを締め出すもので、カナダの規制当局が新しい権限をどのように適用するつもりか、企業にほとんどガイダンスを与えていないと指摘したもようだ。

(注1)2019年5月のプラハ5Gセキュリティー会合で採択した提言。自由かつ公正な競争と透明性、法の支配に裏打ちされた5Gネットワーク構築の必要性を強調している。

(注2)同盟国や地域に限定してサプライチェーンを構築すること。米国が対中摩擦の中、敵対国から同盟国へと物資の供給元を切り替えることにより、サプライチェーンの安定化・強化を図ろうとする中で現れた概念。

(高山さわ)

(カナダ、米国)

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