2022年成長率、遼寧省・黒龍江省は全国平均以下、吉林省はマイナス成長

(中国)

大連発

2023年02月13日

中国東北3省の各統計局の発表(注1)によると、2022年の域内総生産(GRP)は、遼寧省が前年比2.1%増の2兆8,975億元(約57兆9,500億円、1元=約20円)、吉林省は1.9%減の1兆3,070億元、黒龍江省は2.7%増の1兆5,901億元だった(添付資料表参照)。

成長率は、3省とも中国全体の3.0%(2023年1月20日記事参照)を下回った。吉林省はマイナス成長だったが、同省統計局は「4月に景気は底を打って持続的な回復基調が続いている」と評価している。遼寧省と黒龍江省の統計局も、経済は安定的に回復しているとの認識を示した。

遼寧省の一定規模以上の企業(注2)による工業生産増加額(付加価値ベース)は前年比1.5%減となった。電力・熱エネルギー・ガスおよび水の生産・供給業は3.7%増となったが、採掘業(3.3%減)と製造業(1.8%減)がともに減少しとたことが一因とみられる。そのほかでは、パソコン・通信・その他電子設備製造業が28.5%増となったほか、たばこ製品業(10.6%増)と化学原料および化学製品製造業(10.3%増)も2桁増になった。自動車製造業については8.4%増と前年と同水準の成長率だった。固定資産投資をみると前年比3.6%増で、インフラ投資と改築・技術革新投資がそれぞれ38.8%増、33.3%増と目立った。社会消費品小売総額は2.6%減だったが、新エネルギー車とウェアラブルデバイスの小売額はそれぞれ3.7倍と3.0倍と好調だった。貿易総額は前年比2.4%増の7,907億3,000万元で、そのうち、輸出が8.2%増の3,584億6,000万元だった。主要産業の1つである自動車の輸出が34.3%増の109億7,000万元となり、全体を牽引した。

黒龍江省の一定規模以上の企業による工業生産増加額(付加価値ベース)は前年比0.8%増で、うち装置工業が5.5%増、食品工業が2.9%増、エネルギー工業が2.2%増だった。固定資産投資は0.6%増と全国平均(5.1%増)の伸びを4.5ポイント下回ったが、インフラと製造業における投資はそれぞれ7.1%増、10.2%増となった。社会消費品小売総額は6.0%減となったが、新エネルギー車の小売額は2.1倍と大きく伸びた。

吉林省の一定規模以上の企業による工業生産増加額(付加価値ベース)は前年比6.4%減だった。同省統計局は、2022年上半期(1~6月)は前年同期比11.5%減(2022年8月10日記事参照)、1~9月は2.5%減(2022年11月11日記事参照)となり第3四半期に改善がみられたことを指摘しつつ、同省経済は回復傾向にあるとの認識を示した。主要産業の1つでもある自動車産業の生産総額は5,256億元で、同省の工業生産額全体の41.1%を占めた。

(注1)統計発表日は、遼寧省1月20日、吉林省1月20日、黒龍江省2月2日。

(注2)当該年の主な業務の売上高が2,000万元以上の工業企業。

(李穎)

(中国)

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