上半期成長率、遼寧省は全国平均以下、吉林省はマイナスに

(中国)

大連発

2022年08月10日

中国東北3省の各統計局の発表(注1)によると、2022年上半期(16月)の実質域内総生産(GRP)は、遼寧省が前年同期比1.5%増の13,1729,000万元(約263,458億円、1元=約20円)、吉林省は6.0%減の5,6971,500万元、黒龍江省は2.8%増の6,3952,000万元だった(添付資料表参照)。

中国全体の成長率(2.5%)を上回ったのは、東北3省では黒龍江省のみだった。同省統計局は「上半期の経済状況は合理的範囲を維持している」と述べた。遼寧省は低成長となったものの、同省統計局は「経済状況は安定的に回復へ向かっている」とした。吉林省は、長春市など主要都市で1カ月半以上の新型コロナウイルス防疫措置に伴う都市封鎖(2022年4月28日記事参照)が実施されたことがマイナス成長の一因となった。

遼寧省の一定規模以上の企業(注2)による工業生産増加額(付加価値ベース)は前年同期比3.0%減となった。産業別にみると、採掘業が1.9%増、電力・熱エネルギー・ガスおよび水の生産・供給業が5.9%増のプラス成長に対し、製造業は4.8%減のマイナス成長だった。製造業のうち自動車製造業が10.7%減と2桁減となった影響が大きいとみられる。

固定資産投資をみると、遼寧省は前年同期比3.0%増で、インフラが50.3%増、化学原料・化学品製造業が37.3%増、自動車製造業が24.7%増となった。社会消費品小売総額は2.9%減だったが、一定限度額以上の企業(注3)の小売りのうち、新エネルギー車が3.7倍と急成長した。

同省の貿易をみると、輸出は前年同期比8.7%増の1,691億元だった。主要産業の1つ自動車の輸出が14.0%増の43億元で、全体を牽引したかたちとなった。

黒龍江省の一定規模以上の企業による工業生産増加額(付加価値ベース)は前年同期比3.5%増となり、装置工業が14.8%増、食品工業が9.4%増、ハイテク製造業が7.6%増と、それぞれ順当な伸びを示した。固定資産投資は6.9%増で、全国平均(6.1%増)を超えた。そのうちハイテク産業が32.7%増と目立った。社会消費品小売総額は3.2%減となったが、6月単月では前年同月比2.8%増と回復の兆しが見えた。

吉林省の一定規模以上の企業による工業生産増加額(付加価値ベース)は前年同期比11.5%減だったが、6月単月では6.3%増と5月より11.2ポイント上昇し、回復傾向が見えた。固定資産投資が14.3%減、社会消費品小売総額が11.7%減と、各指標でマイナス成長となった。

(注1)統計発表日は、遼寧省721日、吉林省81日、黒龍江省723日。

(注2)当該年の主な業務の売上高が2,000万元以上の工業企業。

(注3)当該年の主な業務の売上高が2,000万元以上の卸売企業、500万元以上の小売企業、200万元以上の飲食、宿泊企業。

(李穎)

(中国)

ビジネス短信 92f7df4501a12297